11.08.2021

[film] Halloween Kills (2021)

10月31日、日曜日の午後、”Our Friend” (2019) が終わってそのまま小走りでTohoシネマズ新宿に移動して見ました。 苦手な難病モノから更に苦手なスラッシャーホラーへ。ちょうどハロウィンの日だし、この晩にはこれらを軽く上回る阿鼻叫喚絵図で自分が死ぬのを覚悟せねばならぬ、ということで覚悟はして、どっちみち地獄はくるし、実際にきたしー。

“Halloween”のフランチャイズとしては12番目、前作の”Halloween” (2018) – 未見 – からの続きで、後日談どころか、同じ2018年のハロウィンの晩からほんの数時間しか経過していないのだった。

このシリーズに関しては、一番最初の、オリジナルの”Halloween” (1978)を数年前にロンドンで – やっぱりこれくらいは見ておかないとだめなんじゃないか、くらいで - 見て、ものすごく怖かったので内容はもうほぼ憶えていない(怖いのは脳が追いはらう)。前作やシリーズのほとんどを見ていなくてもだいじょうぶ(なにが?)だから。

Michael Myersによる最初の殺戮の晩から40年たったこの日、78年の時に誤って同僚を撃ち殺してしまった警官Frank (Will Patton)が道端で喉を切られて倒れているのを発見され、40年前に生き残って前作の最後に戦って腹を刺されたLaurie (Jamie Lee Curtis)は病院の集中治療室に運ばれていてそこでFrankと再会して、酒場では当時のサバイバーたち - Tommy Doyle (Anthony Michael Hall)とかがもう許しちゃおけねえ立ちあがろう、って気勢をあげている。そんななか、やっぱりあいつは死んでいなかった、と(誰も驚かない)。

78年当時の再現映像と2018年に蘇って変わらず殺しまくるMichael Myersの映像を交互に映しだしつつ、現地の人々も見ている我々の方ももういい加減にして、が渦を巻いて沸騰して爆発して暴動のようになって、本件とは関係なく精神科から抜け出していた患者さんがその巻き添えになり、それでも宿敵を追い詰めていくのだが..

仮面をしたままどれだけ撃たれても刺されても焼かれても立ちあがり、再び姿を現して見境なく殺しまくる彼は、常識や人智をこえたなにかの化身としか思えなくて、それは当初、姉を突然殺した後に悪魔のように変容してしまったサイコパスだった彼のありようが、束になって人肉を狙って襲いかかってくる不滅のゾンビ的ななにかに変わってしまったようで、おもしろいのはそれが起動したMichael Myers憎しの人々もまたゾンビを狩るゾンビ or 魔女狩りに熱中する人々- のように変容し、暴走していく姿、だろうか。その闘いの渦は地域一体だけでなく世代をも超えて、今回だとLaurieから娘のKaren  (Judy Greer)に、更には孫娘のAllyson (Andi Matichak)にまで伝播していく。

こんなふうに即物的な殺しと想像をかきたてる血とか風土の対比が無限にいろんな(映画の)やり口を生んできたのだと思うし、それは毎年やってくるハロウィンのコスチュームをどうしよう、って考えるのと同じようなかんじ(長めのスパンで見れば毎年そんなに変わっていない)でここまで来たのだろうが、次作ではどう決着をつけるつもりなのだろうか? Laurieが再びフロントに立ちはだかることは間違いないと思うが、関係者がほとんど亡くなってしまった気がするので、その更地の上でどうなる? って。

“Kill”か”Survive”か、でいうと今回のは圧倒的に”Kill”を求めている映画で、殺られる人々は真剣に逃げていなくて生き残る意思があるとは思えないし、警察とかもあまりになんもしなさすぎるし、そんなありようが今の何かを語っているのだとしか思えない。みんなが”Kill”のほうに向かって止まらない。

こんな世界の暗がりとかどん詰まった壁の向こうで脈を打つかのように鳴りだすJohn Carpenterの音楽のすごいこと。希望なんてもんではなくて、ただ目覚めを促すかのように耳の奥に届いて着地するとなにか渦のようなものを起動しようとする。この人のシンセの肌理と厚さはデビュー作の頃から常にそういうところを狙って不気味に、どんな凡庸な画面に対してもほんとうに「効く」ことを強いてやまない。

それにしても日本の観客ってお行儀よくて静かだねえ。こういうのって「うぇえー」とか「げろげろー」とか「あううー」とか言いあいながら見ないと、なんか暗くなるばかりでつまんなくない?

あと、Anthony Michael Hallがちっともちゃらちゃらしてくれないのが悲しかった。あんな奴じゃなかったのにさ..

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