8.23.2021

[film] Let Him Go (2020)

8月21日、土曜日の午前、シネクイントで見ました。
シネクイントってたしかパルコ Part3の上にあったやつね、って行ってみたらパルコ Part3がなくなっていて少し慌てた。ここ、昔は別の映画館だったよね?

邦題は『すべてが変わった日』。Larry Watsonの同名小説(2013)をThomas Bezuchaが脚色・監督した作品。

60年代のモンタナで、引退した保安官George Blackledge (Kevin Costner)と元馬術家のMargaret (Diane Lane)の老夫婦と、息子のJames (Ryan Bruce)とその妻Lorna (Kayli Carter)と生まれたばかりのJimmyが質素ながらも幸せそうに暮らしている。

ある日Jamesが落馬事故(? 明確には描かれない)で亡くなり、数年後にLornaはJimmyを連れてDonnie Weboy (Will Brittain)と再婚して家を出ていく。結婚式の様子からこの再婚がみんなにとってやや仕方のないものであることがわかるのだが、暫くしてMargaretはショッピングモールの車のなかからDonnieがJimmyとLornaをビンタするのを目撃してショックを受け、暫くしてからどうしても気になった彼女がケーキを焼いて彼らの家を訪ねてみると、親子3人はどこかに越していった、と言われる。

虐待のことと行き先も告げずにいなくなってしまったことが気になって仕方ないMargaretはやや渋るGeorgeを引っ張って車に乗ってどこにいるのかもわからないWeboy家を目指して – このふたりの道中もなかなかよいの - ノースダコタ州まで渡って、ようやくDonnieの叔父であるBill Weboy (Jeffrey Donovan)に会うことができて、これがすごくやな野郎なのだが、折角だからとWeboy家にディナーに誘われて、時間に行ってみると家長のBlanche (Lesley Manville)がポークチョップを食べな、って彼女に統率されたでっかい家族の男たちがいて、Margaretは少しだけJimmyを抱っこできたものの、Blancheに散々嫌味を言われて罵倒されて塩を撒かれる。

翌日Lornaの仕事場を訪ねたMargaretとGeorgeはJimmyを連れて一緒に逃げるべきだ逃げよう、とLorenaを説得して、深夜に彼らの泊まっているモーテルに来るように言う。のだがモーテルに現れたのは鬼の形相のBlanche一家で、Margaretを殴って、銃を構えたGeorgeを取り押さえて彼の指を斧で叩き切ってしまう(Blancheが指示をだしてDonnieにやらせる)。

翌日、Georgeが横になっている病院に現れた現地の保安官はWeboy家側の言い分を全面的に認めてそのままここから立ち去れば罪には問わないから、とどこまでも非情で非道で、帰る途中、Georgeの具合がよくなくて、来るときに知り合った先住民の若者Peter (Booboo Stewart)の小屋で世話になった晩、Georgeはたったひとり車でWeboy家に向かって...

途中まで現代を舞台にした物語かと思っていたくらい、家族のこと、DVのこと、中西部の血族のこと、先住民差別のこと、などテーマはちっとも古くなくて、ここに老いた夫婦、亡くなった息子への情、束縛からの解放、先住民差別、などが絡んでくると、これは西部劇としか言いようがなくて、実際それでなんの問題もないかんじ。Clint Eastwoodあたりが作ってもおかしくなさそうなテーマだけど、彼はああいう女性(たち)を描かない気がする。

静かなトーンで進んでいた前半がBlancheが登場した辺りから突然沸騰してバイオレンスの方になだれ込んでいく。Lesley Manvilleはいつもの通りこわいくらいに巧いのだが、なんでここに英国女優を、というのはちょっとあるかも。米国にも演じられるひとはいっぱいいそうなのに。あと、Blancheという名前からはやはり”A Streetcar Named Desire”の彼女を連想してしまう。ああならなければ生きていけなかった女性の業..

“Let Him Go”と言っているのはずっと馬を操ってきたMargaretで、この映画の中心にいるのはDiane Laneで、Kevin Costnerを引っ張っていくところからとにかくすばらしいの。あの後、Weboy一家の追っ手から逃れるために彼らは姓をKentにして、Jimmyは名前をClarkに変えて.. 



日本のムーミンはなんであんな会社とコラボしてるの? もうじき”Tove”も公開されるというのに、彼女が知ったらなんて思うか…

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