9.11.2019

[log] NY (2)

7日土曜日のごごを中心に。 美術館を終えて、買い物&食べ物編 –そんなにないけど。

ずっと通っているロンドンの古書店 - Second ShelfのA. N. DeversさんがBrooklyn Antiquarian Book Fairていうのに出店するよ、と言ってて(この人はこの前日にSmithsonianで講演とかしていた)、丁度日にちが合うので顔だしてみようか- 場所はどの辺かしら、と探してみたら、GreenpointのAcademy Records Annexの真裏だったのでのけぞって、なんかの神様がおまえはこの地帯で散財しろって言っているんだわ、って。

Academy Recordsはこの場所に来る前はWilliamsburgにあって、その前はEast Village (いまの12th stのとは別の場所)にあって、その頃からここには通っているので軽く15年くらい。あの頃はここがあって、そのまま歩いてOther Musicにも行けて、充実していたなー。

あと、Academy Records Annexって、日本でも公開された映画”Hearts Beat Loud” (2018)で、Nick Offermanのパパがやっていたレコ屋のセット、はこのお店、なの。

Book Fairはロンドンのにいくつか行き始めた程度の素人なのだが、ロンドンのと比べると敷居が低くて縁日の屋台・露店感が強くて、まわってて楽しかったかも。見るからに古文書みたいなプロ向けのはあまりなくて、かわりにスクラップとかチラシ系がいっぱいあるような気がした。 ここだけじゃなんとも、だろうけど。

Second Shelfはあらあらまあまあ、あなたこのために来たの?( - まさかー)とかそういう会話をして、おみあげに一冊買った。 隣に出店していたLeft Bank Booksもとてもよいセレクションで、うーって唸ったのだが、後で調べたらここは昔お店に行ったことがあったのだった。

他の店でも魅力的な、ほしいのはいっぱい出てきたのだが、このあとAcademyも行くし、Wordも行くし、Rough Tradeも行くし、Mast Booksも行くし、McNallyも行くし、Housing Worksも行くし、Strandの3階も行くし、あとでなにかのけぞるくらいすごいのに出くわして後悔したって知らないからな、ってクビの後ろでなにかが囁くので、えいっ、て振りきってそこを出た。

その裏のAcademy Recordsはレア盤も含めた全体の量がすごくなっていて(アナログの流通量が増しているから?)、普通に攻めたら軽く2時間くらいかかりそうだったので7inchだけにした。7inchなら持ち運びも簡単だし。The Theの"Controversial Subject" (1980)とか見つけた。

ここから先は、何を求めて何に押されているのか何が押しているのか引いているのか、自分でもよくわからない彷徨いが始まり、これはどこの街に行っても起こることなのでどうしようもないのだが、NYのは体が勝手に動いていくかんじがあって、やっぱり楽しい。たぶんあと数年したら老人の徘徊になってしまうのだろうな。

ものすごい掘り出しものはなくて、でもそれなりにあれこれ買えたのでよかったかな、と。
新刊本で最後まで買おうかどうしようか悩んでいたのはこないだRizzoliから出た”Ray Gun: The Bible of Music and Style”で、Liz PhairやWayne Coyneが文章を寄せている。どっしりかっちりした90年代のエディトリアル集大成本だったが、やっぱりあれを雑誌でやった、雑誌だからやった、ところがすごかったのよねー、と思って留まった。 しばらくは古雑誌漁りを続けよう。

話は逸れるけど、古雑誌もおもしろくて、こないだ買った30年代の文芸誌、Gertrude Stein、Ezra Pound、Jean Cocteau、E.E. Cummings、Henry Millerなんかがふつうに載ってるの。

お食事 – 晩2つ、昼2つ。

最初の晩は数年ぶりにRoman’sを訪れ、暗くてよくわからないのだがとにかくものすごくおいしいイタリアンを食べて、土曜日の昼はGreenpointのChez Ma TanteでAbsoluteのリストに入っていたパンケーキ – シンプルなふっくら系ではない、たぶん賛否ありそうな -  を食べて、その晩はいつものようにPruneで、牡蠣フライとラムのT-Bone(なんてはじめて)を食べて、日曜日の昼はチャイナタウンで飲茶をした。

チャイナタウンの飲茶は久々で、ロンドンのチャイナタウンにもあるけどやはりぜんぜん違うのよねー。
入口からごった返して紛争状態で、やっと相席の丸テーブルにつくとお皿を乗っけたカートが巡ってくるのをひたすら念じて待って、来ても英語通じないので中味がなんなのかわかんないのもあったり、今回は粽と豆腐花があったのでうれしかった。 チャイナタウン、無くなったお店もあるけど、まだ残っているのもいっぱいあって、残っているのってどうやって維持しているのだろう、だって20年以上レイアウトもなんも変えていないとことかあるし。


今年も911が来ました。 18年が経った、と。起こった当時、18年後がくる/あるなんて思ってもみなかったが、ひとつだけ強く思ったのはこれが起こったことを今後なにがあってもぜったい忘れてはいけないのだ、と。 そして実際に忘れることはない。

忘れないと強く念じているから、というよりも傷のようにどうしようもなく強く残ってしまって消えない。ある人々にとっての戦争も原爆も地震も津波もおそらくそういうもので、その記憶と共に生きるというのはこういうことなのか、と18年も経ったのならそう言ってみても許されるだろうか?    ていうのと、それはそうと世界はあれからちっとも良くなっていないんじゃないか、テロ防止の名目で人々を排除して分断して憎悪と絶望を煽ってそれを上から押さえこんで、ほんとなにやってるのさ、ていうのと。  
下から上にまっすぐ昇っていく2本の光に祈る。


ああ、Daniel Johnstonまで…

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