9.16.2019

[film] To Catch a Thief (1955)

2日月曜日の晩、BFIのCary Grant特集で見ました。 邦題は『泥棒成金』- このタイトル、よくわかんないよね。泥棒と成金、どっちがどう、それがどうした? ってのと、これって別に成金がどーしたって話じゃないし。

リヴィエラのリゾート地でお金持ちの宝石を狙った強盗事件が多発し、その手口から既に引退している元強盗 - John "The Cat" Robie (Cary Grant)の犯行が疑われて、”The Cat”は自身の潔白を示すことと、自分の手口をコピーされたことへのふざけんな、があって、その途上でぴかぴかのお嬢さまのFrances (Grace Kelly)とも仲良くなるのだが、彼女の母親の宝石も狙われて。

それまでの”Suspicion” (1941)や”Notorious” (1946)の主人公が湛えていた得体の知れない黒さ不気味さはやや後ろにいって、どちらかというと彼自身が自身の影のような、得体の知れない何かを追うはめになる – それも昼間の、リヴィエラの陽光のなかで、という眩しいおもしろさはあるのだが、どちらかというと軽めのRom-comみたいのを狙ったのかしら、って。

Cary GrantとGrace Kellyの相性もカラーのせいもあるのかもしれないが、なんか互いの色みを向こう側に弾いているように見えてしまうところがあって、くっついてもくっつかなくても景色がきれいで絵になればどっちでもいいや、みたいなかんじが漂う。 最初に車でドライブして高台でチキン食べて、チキン食べてそのままキスしちゃうのかー、とかね。 リヴィエラはふたりにとってこの後ずっと忘れられない土地になったようだからよかったのかもだけど。


Shadows and Light: Alfred Hitchcock and Cary Grant


2日の月曜日、”To Catch a Thief”の前に1時間強、Queen Mary University of Londonで映画史を担当しているMark Glancy教授からこのタイトルでのレクチャーとQ&Aがあった。

この方はLAまで飛んで、HitchcockとCary Grantの現存する全ての手紙のやりとりを調査したことがあるそうで、それを見る限りではふたりは本当に仲がよかった – 仕事に関するやりとりはあまりなくて、心をこめた季節のグリーティングや誕生日おめでとう、ばかりで、本当に敬愛しあっていたそう。 撮影の現場でもGrantのコメントだけはHitchcockはきちんと聞いて対応していた、と。

Hitchcockは1899年、Grantは1904年、共にイギリスの地方のあまり裕福でない商家に生まれて、ハリウッドに渡ってからも苦労して、なのでいろいろ通じ合うところもあったみたい。
そんなふたりは1939年に出会って、Hitchcockは最初に”Mr. & Mrs. Smith” (1941)の主演を持ちかけたのだが、Grantはコメディではなく悪役をやりたがったので、この役はRobert Montgomeryに行ったのだそう。(あー見たかったなー)

で、実際のところ”Rope” (1948)も”I Confess” (1953)も”Dial M for Murder” (1954)もぜんぶGrantに主演して貰いたかったそうなのだが、その頃にはGrantは大スターで手が届かなくて、”The Bird” (1963)にも誘ったのだが、鳥? 冗談でしょ、みたいなかんじだったって。

一番ううー、て思ったのは、”Notorious” (1946)の後に企画されて、プレスリリースまでされたという”Hamlet”だよね。 想像しただけでなんかむずむずするわ。


R.I.P. Rick Ocasek -  はもちろんなのだが、マンハッタンのボタン屋 - Tender Buttonsの閉店が悲しい。 
昔住んでいた頃、近所だったのでよく行った(ほとんど買わなかったけど、ごめんなさい)。
ボタンてほんと不思議なやつだねえ、ってしみじみ思った。 閉店すること知っていたらこないだ行けばよかったー。

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