7.10.2019

[music] Barbra Streisand

7日の夕方から夜にかけて、Hyde Parkで見ました。 前の晩から朝までずっと雨だったのだが昼過ぎから晴れた。

昨年のHyde Parkのライブは、The Cureのチケットが気づいたら売り切れていて泣いて、ライブの晩に風に乗って聞こえてくる音 - 曲目がわかるくらい - にいちいち泣いてた。 ので今年はちゃんと取らねば、と思っていたのに、早くもあさってのBob Dylan & Neil Youngでやってしまい(まあ取れないよね)せめてこれくらいは、と取ったのがこれ。

一昨年前にここで見たのはTom Petty and the Heartbreakers とその前のStevie Nicksで、すごくよかったのに、まさかTom Pettyが…  だったねえ。

ステージは3つくらいあるのだが、メインのステージしか行かない(他のステージのトリはRichard Marxとか)ので、16:45はじまりの Kris Kristoffersonめがけて行った。入り口は階級(チケットの値段)によって厳格に分けられていて、一番安いチケットのわれわれ平民は駅からぐるううううっと回されてステージから一番遠いエントランスからはるか彼方のステージにめがけて旅をするかんじ。

なのでステージ近くまで来たときにはへとへとで - ふつうは途中でビールとか買うのだろう - 一昨年にも転がっていた木陰でごろごろしているとKris Kristoffersonが始まり、映像は少ししか見えないけど音はじゅうぶんに聴こえるからここでいいや、とそのまま寝っ転がって聴く。

83歳なのかー、Joãoとは5つしか違わないのかー、とか。ふわふわしたとても柔らかい声で夏の午後にはたまんない。いろんなタガが外れて後頭部の向こうに放り投げられていくのが見えるような。

続いてはBryan Ferryで、これはさすがに立ちあがって映像が見えるところに行く。
たぶん88年(?)の武道館公演以来..  書き忘れたけど、とにかく客の年齢層はとっても高くて、飲み物買ってくるといって群れから抜けるとビールではなくてワインの瓶を下げて戻ってきて、若者みたいに暴れたり荒れたりしない分、みなそれぞれに歌ったりスイングしたり楽しそうで、たまにぎゅぅーって足を踏まれる(でもにっこり微笑んでくるから、言えない)。

というわけなのでみんなカラオケ大会みたいに得意になってわーわー歌う。特に“More Than This” – “Avalon” の、Avalonの高音のところはみんな鳥みたいになってきーきーやかましいこと。
“Can’t Let Go”はいつまでもかっこいいねえ。 今の歌だなあ。

Ferry氏は、歌もバックも当たり前に申し分ないクオリティで、こないだのKing CrimsonのRoyal Albert Hall 3daysの前日にあそこでライブしていたのだが、あのセットリストの方がよかったかなあ。 (”Avalon”より”Flesh and Blood”の方がすき)

そしてBarbra Streisand。個人的にはAretha亡き後に見たかった最後の最強の(でもないけど)。
観客の話にばかりなってしまう(だっておもしろいんだもの)のだが、一昨年のStevie Nicksのときのアナーキーなおばさんたち以上に、みんながBarbaraのような女王さまになってしまうというー

Barbaraは、眩しいのでサングラスをして、サングラスをするとスクリプターが読めなくなって言い間違ったりばたばたしていて、曲の間はぎこちなくお茶を飲んでおしゃべりしているのだが、歌に入ると冗談みたいに世界が切り替わって王宮とかビロードみたいななにかとかが広がってしまうのでまあすごい。

野外でやるライブは67年のCentral Park – “A Happening in Central Park” - 以来だそうで、だからもう震えちゃうのよねー、といいつつ、過去のクリップとか写真とか - 特にロンドンであったことなど - を大画面に次々に映しだしながら思い出を語って、その思い出とか人に纏わる歌をうたう。

そういうわけで、”Alfie”とか”Lost Inside of You”とか”Guilty”とか”Stoney End” (Laura Nyro!!)とか、” Second Hand Rose” - 昔はシンガロングできる曲はこれくらいだったのよ – とか、同様に夏の野外でみんなで一緒に歌う”Silent Night”もなかなか素敵だねえ、とか、衣装替えで引っ込む際は、”The Phantom of the Opera”のミュージカルの歌い手のRamin Karimlooに歌わせといたり(ミュージカルの世界はぜんぜんわからないのだが、うそあれほんとに彼? えええーの悲鳴多数)豪勢で、デュエットのところではLionel Richieが出てきて”The Way We Were”を歌ったのだが、この曲はソロで歌ってほしかったなー、とか。

もういっこのヤマは誰もが予想した”A Star Is Born” (1976)のKris Kristoffersonとのデュエットで、映画のクリップの後に演奏が始めって、ふたりで見つめあいながら歌ったのだが、やはりもう火は消えてしまったのね、感が強くて、曲が終わるとKrisは彼女の手を振りほどいて引っ込んでしまった。
いまから40年後、Lady GagaのライブにBradley Cooperが出てきて同じことが起こるかしら?

本人がちゃんとリハーサルできていなくて、と何度も言っていたように、きちんと聴けば音程とかがたがたなのかもしれないが、歌がはじまると背後に雲のように立ちあがって見えるなにか、がなんかのイリュージョンであってもちっとも構わない、そういうばかでかい何かがあそこにはいるようだった。

ゲストで会場に来ていたらしい(見たわけじゃない、彼女に呼ばれてた)のはRalph Fiennes、Antonio Banderas、InstagramによるとTildaさまなどなど。 最後のほうでは彼女のバイオわんわん3匹が登場してやんやだった。

おしゃべりでおもしろかったのは、最前列の人達に「あなたたちすごいねえー、どうやってここまできたの? やっぱ早いもの勝ち?」という発言に、「そんなの金だよ金〜」 ってみんな返したところ。

映画のスチールもいっぱい流れたが、”Yentl” (1983) - 『愛のイエントル』で、ああ.. ってため息ついてる人たちが大勢いた。 自分だったら”The Owl and the Pussycat” (1970)か "What's Up, Doc?" (1972) かなあー。

アンコールの最後はJudy Garlandに捧げます、って”The Man That Got Away” - “A Star is Born” (1954) からでした。 じーん。

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