7.06.2019

[film] Dangerous Liaisons (1988)

6月26日水曜日の晩、BFIの”Playing the Bitch”の特集で見ました。

Laclosの古典をChristopher Hamptonが劇作化して、それをStephen Frearsが監督したもの。『危険な関係』、ね。
見たことないと思っていたのだがはじめの寝起き ~ お化粧のシーンで、あ、これ見たやつだわ、って。

18世紀、革命前のフランス。 とにかく冒頭が最高で - Marquise de Merteuil (Glenn Close)とVicomte de Valmont (John Malkovich)それぞれが侍従たちに衣装着せてもらってお化粧して粉と霧ふりかけて、戦闘モードいっちょう、のようなフル装備に変態していって、そこにMerteuilの、わたしは15歳でこのソサエティに入って苦労していろいろ学んできて、この世界を動かしている原理は勝つか死ぬかしかないことを知るに至った、みたいな台詞が被ると、ああこれはもう戦争大河ドラマなんだわ、って身震いするの。

で、この仮面と皮を被ったふたりがやらしくねっちり会話して企んで、まずは最近社交界デビューしたばかりのCécile (Uma Thurman)を落としてみたら、とValmontに持ちかけるのだがValmontは信心深い人妻のMadame de Tourvel (Michelle Pfeiffer)の方を誘惑してみたくて、まあとにかくやってごらんなさいな、になる。

そこからのValmontはCécileの部屋の鍵盗んで忍び込んでくだまいてレイプ、とかTourvelの手紙を抜いて盗み見、とか散々やって(これって通常の誘惑とか駆け引きというよか明らかに犯罪だと思うけど)、だんだんTourvelが崩れて彼の方に寄りかかってくるとまずいことに彼は彼女を愛し始めてしまっていることに気付き、それを察したMerteuilは笛鳴らして彼女から離れるように言うのだが彼は言うことを聞かずに戦争(Merteuilが宣言するとこすごく怖い)になり、Valmont はTourvel に"It is beyond my control"をロボットのように繰り返して縁を切ると彼女は心痛でぼろぼろに、やけになってCécileにあたれば彼女は(Valmontの子を)流産して、Merteuilがそれを音楽家のDanceny (Keanu Reeves)に告げてしまうと、DancenyはValmontに決闘を申し込んで。

こんなふうに貴族がヒマに任せて始めたゲームが止められなくなって、死んだりぼろぼろになったり「危険な関係」というより(恋愛)関係て危険よね、というお話しなのだが、Bitchということに関していえば、Merteuilの、どこまでもValmontを使ってやりたい放題やって一切容赦しない後悔しないその姿が素敵すぎる。「危険な関係」なんてわかりきったことをくどくど説明せず、地位や身分とは関係なく生態系の頂点にあろうとするBitchの生き様をぎんぎんに描いた、という点でまずかっこよくて、特に最後、Valmont - Danceny経由で所業を全て暴露され、周囲からの圧倒的なぶーを受けて化粧室に引きさがり、ひとりメイクを落とす場面の凄まじいこと。 それでもぜったいすっぴんにはならないの。それが戦争というもの。

そしてこの豪放な「戦争」もやがて来る「革命」によってぜんぶなぎ倒されて焼け野原になってしまうの。

こないだの”The Favourite” (2018)も、これくらい筋の通ったBitchものにしちゃってよかったのになー、とか。

なかなか豪華な主演、助演陣はいまはみんな適度に枯れてきちゃっているけど、みんな若くてすてきで、Keanuなんて、このへっぴり腰の坊やがやがてJohn Wickに..  とか、UmaだってBillを殺しに.. とか思うとしみじみする。そしてGlenn Closeはこの頃からずっと揺るがずに強い。

いまリメイクするとしたら誰が? を考えるのも楽しいよね。

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