7.03.2019

[film] Vita & Virginia (2018)

1日、月曜日の晩、BFIで見ました。

一般公開前のPreviewだったのだが、これがお披露目ではなく、3月のBFI Flare – 毎年行われているLGBTQ+ の映画祭- のオープニングを飾った作品で、この時、チケットの前売りに出遅れたら3回くらいあった上映枠はすでにぱんぱんに売り切れていた。
Virginia Woolfおそるべし。

20年代のロンドンで、自身も作家で社交界の華だったVita Sackville-West (Gemma Arterton)が当時もっともぶっとんでいたと言われるVirginia Woolf (Elizabeth Debicki) のサークル – Bloomsbury Groupだよ – のことを聞いて興味を持って近づいていって、Virginiaは最初はそっけないのだが、そのうちVitaが外交官である夫Harold (Rupert Penry-Jones)のテヘラン駐在についていって離れてしまうと手紙のやりとりが頻繁になって、やがて。

冒頭がVirginiaが夫のLeonard (Peter Ferdinando)とやっているHogarth Pressで(邸内に手刷りのような印刷機があって、その奥に彼女の部屋がある)刷りあがったばかりの”Jacob's Room” (1922)に赤を入れているところで、そこからBloomsburyのディナーパーティに行くとVanessa Bell(Emerald Fennell)がいて夫のClive Bell (Gethin Anthony)がいて、Duncan Grant (Adam Gillen)がいる、それだけでわあー、なのだが、そういうドラマではないの。 けど、あのサークルの自由な空気がふたりの関係を柔らかく暖かく見守っていった、ということは言えるのだからしてー。

Virginiaは”To the Lighthouse” (1927)を書き終えたあたりで精神的に不安定になり、彼女の危機を聞いたVitaはテヘランから急いで戻ってきて、こうしてふたりは性的な関係を持ってとても親密になるのだが、ずっとここにこうしていたい、という強い想いと、ここから抜けださないとやばいかも、という危機感の間で引き裂かれつつVirginiaは”Orlando: A Biography” (1928)を書いて、そこにVitaへの想いのすべてをぶちこみ、自分にとってのVitaの像を掘りこみ、この本を彼女に捧げて、元の仲のよい友達同士に戻るの。

史実や経緯としてどこまで正しいのかはわからないのだが、ふたりの女性 – どちらも作家 - が出会って恋に落ちて関係を深めて燃えあがり、自分たちの手で結び目を解いて終わらせる、その過程がとても丁寧に、美しく - 美しいっていうのはこういう関係のありようなんだわ、っていうくらいに美しく描かれていて、そのまったくべたべたしない、さらりとすれ違って去っていく感覚はVirginiaの小説に浸ったときに受けるそれのようで、これかも、って思ったし、Virginiaの頭のなかで何が起こったのかは、”Orlando”に書いてある(映画だってある)し。

少し冒険かも知れないが、劇中にOrlandoを登場させたりしてもよかったかも。そもそもそういう存在なんだし。どうせならTildaさまで。

でもやっぱしつい、あそこでVanessaが描いている絵は、とか、Hogarth Press の場所は52 Tavistock Square ?Richmondの方じゃないよね? とかそんなことばかり気になってだめ(自分が)だった。 米国ではVoD公開みたいだけど日本では劇場で公開されてほしいなあ。

Eva Green → Andrea Riseboroughを経てVirginia Woolf役に決まったElizabeth Debickiさんは目元とか本人とちょっと似ていて、ひょろっと鶴のように冷たそうなかんじとかとてもよかったし、情熱的に押しまくるGemma Artertonさんとの相性もとても素敵でねえ。

早くCharlestonとMonk's Houseには行かねば。できたらSt Ivesも。

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