7.28.2019

[art] Lee Krasner: Living Colour

18日の夕方にBarbicanのGalleryで見ました。 もう少し早く来るはずだったのに。

米国の抽象表現主義(Abstract Expressionism - この訳、これでいいのかしらっていっつも)の画家 - Lee Krasner (1908–1984)の、ヨーロッパでは50年以上ぶりとなる大規模展だそう。
この人を語る時にいつも言われる -  Jackson Pollockの妻として語られがちだがじつは絵画「も」すばらしく - という言い方がとんでもなく失礼であることがすぐにわかる。

展示は、年代順に追う構成ではないものの、1920年代の自画像から30年代にHans Hoffmannに教えを受けつつ(すごくよい写真あり)空間の捉え方を模索した頃から、戦中のプロパガンダアートの時代を経て、51年に最初の個展を開き、それ以降はー。

ある時期までパートナーとして横にいたPollockのそれとはどこまでも異なる色や空間、動きに対する目線、感応、手法、メディウムなどなど、それはあえてPollockと違うことをやろうとした、のではなく彼女が初めから自身の目と意思をもったひとりの画家であったことがわかる。  別にPollockをけなすつもりはないけど、彼を持ちあげて彼女を相手にしなかった当時の画壇のしょうもなさ、というのも見えてくるわ、というくらいにどの作品も、テーマ毎の変遷もすばらしく、個々に書いていくと長くなるのでしないけど、描かれた絵画って、それがどんなに抽象的なものであっても我々が見て生きている時間や空間と地続きであって、それ自体で切り離されたなにかとしてあるわけではない - Living Colour -  ということの切り返しで抽象について、アートについて思索すること、その大切さ、必要性は何度も繰り返し説かれているような。

このへん、こないだ遺作を見て、関連作品を見て、いろいろ思っているAgnès Vardaのこともあるのだが、それはまた後で。 あと同時代でいうと、こないだまでTate Modernで回顧展をやっていたAnni Albersのことを思い出したり。

 この展覧会の関連企画としてBarbican Cinemaの方では”Bebop New York - Birth of American Indie Cinema”ていう、50年代後半以降のアートの試みを映画方面からも探ってみよう、ていう週一回くらいの特集上映会があって、6回あったうち2回だけ行けた。
 
行けなかったのは、Cassavetesの”Shadows” (1959)、Stan Brakhage: An Adventure in Perception - 短編3つ、Peter Emmanuel Goldmanの”Echoes of Silence” (1964) + “Pestilent City” (1965)、Shirley Clarkeの”The Cool World” (1963)、とか。 行ったやつは↓

Women Independents  

6月12日に見た。彼女がNYで個展を始めた頃、同様に映像 - 映画に取り組み始めた女性作家3名の短編 - 殆どが16mm - を集めて、これだけでも全部で52分。 

Dwightiana (1959)  Marie Menken
Eye Music in Red Major (1961)  Marie Menken
Notebook (1962)  Marie Menken
Bridges-Go-Round (1958) Shirley Clarke
Divinations (1964) Storm de Hirsch
Peyote Queen (1965)  Storm de Hirsch
Third Eye Butterfly (1968)  Storm de Hirsch

イントロをしたHelen de Witt氏によると彼女たち - Lee Krasnerも含めておそらくどこかで会って話したりしていたのではないか、とそれくらいカメラを手にした彼女たちの対象や光やフレームに向かう実験のありようは似ているようで、当時、この分野の女性の先駆としてはMaya Derenがいたわけだが、だからなにさ、て好き勝手にやっているのが頼もしい。 そういえばひとつの短編では伊藤貞司が音をつけていた。

In the Street 

6月25日に見た。割と有名どころの都市風景を中心とした短編集。 MekasのもKleinのも見たことあるやつだったが、Helen Levittって映画もやっていたのかー、とか。 山や森や海や川とはちがう、都市の不思議なありように、撮る側が驚きつつ楽しそうにカメラを構えているような。

In the Street (1948/52)  Helen Levitt, James Agee, Janice Loeb
Daybreak Express (1953) DA Pennebaker
Williamsburg, Brooklyn (2003) Jonas Mekas  
Under the Brooklyn Bridge (1953)  Rudy Burckhardt
East Side Summer (1959)  Rudy Burckhardt
Broadway by Light (1958)  William Klein 

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