7.15.2019

[film] Only You (2018)

12日、金曜日の晩、CurzonのBloomsburyで見ました。
この日が初日で、上映後に監督Harry WootliffさんとのQ&Aつき。彼女にとって最初の脚本&監督作品なのだそう。

グラスゴーで、大晦日の晩、友人宅のパーティを早めに抜けたElena (Laia Costa)は、帰りのタクシーを捕まえようとして、でもなかなか捕まらなくて、ようやく捕まえたら先に乗りこもうとする男がいるので、それあたしが先に捕まえたんだけど、て言い合いになって、もういいよ、って諦めたら相手の男も悪いと思ったのか、結果的にふたりで相乗りすることになり、気疲れもあってかElenaは途中で車酔いして降りて… こうしてJake (Josh O'Connor)はElenaを彼女の部屋まで送ることになって。

互いの気まずさを解消するためにふたりでいろんな話をして、彼は26で彼女は29と言い、Jakeはレコード箱にElvis Costello and the Attractionsの”Blood & Chocolate” (1986)を見つけて、これよいレコードだよね、というとElenaはそれ、父が遺したものなのといい(ひー)、彼はそれをターンテーブルに乗せて、”I Want You”が部屋に流れる。(とてもストレートで大好きな曲なのだけどA面最後の曲からかけるかな?)

で、その曲に乗ってそのままふたりはキスして親密になって、朝になってごろごろしている時にElenaは自分の年齢を真実のとこまでだんだんにつりあげていって(ここ、すごくおもしろ)、でも彼はべつに怒ることもなくて、こうしてふたりで一緒に過ごす時間が長くなって、彼はElenaのところに越してくる。

やがてElenaの女友達との集まりに一緒にいくと赤ん坊連れの比率が多くなったりしていて、そのときの彼女の目つきとか様子から何かを察したJakeは僕らの子供をつくりたい? と聞いて、Elenaはいいの? ていうと彼はいいよ、と返したので、ふたりで意識してがんばってみるのだが、いろいろ計算とかしてやってもだめで、本格的な不妊治療を受けることにして、注射とかストレスたっぷりなのにそれでも子供はできなくて、Elenaはまず自分のせいだとかJakeが十分協力してくれないからだとか不安定になって、Jakeはそんなにシリアスにならなくても、というと火に油になり、こうしてふたりの距離がゆっくり離れていって、喧嘩の果てにJakeは家を飛びだしてしまい、彼らはどうなっちゃうのか。

互いにとっても好きだから子供を作ろうと思ったカップルが真面目で真剣であればあるほど嵌って抜けられなくなってしまうであろう地獄をものすごく緻密に生々しく描いていて、この辺は監督が女性であることも大きいのかもしれないが、上映後のQ&Aで同じ経験をして数年間苦しんだという観客からとても嫌だったことをたっぷり思いださせてくれてありがとう、と言われていたくらい。

でもこれはやはり真剣に恋をして離れられなくなったふたりのラブストーリーで、修復不能かも、と思われた彼らの関係も決して悲劇には終わらないので見てみてほしい。

とにかくこのふたり - リスとウサギみたいなふたり - をキャスティングした時点で当たりで、このふたりの間にだんだんと生まれてくる化学変化のすばらしさったらないの。 現場で撮影が始まるまでふたりは電話で軽くリハーサルした程度で会ったことがなかった、ていうのが信じられないくらい素敵に輝いていくふたりで、”Only You”ていう直球のタイトルが最後にずーんとくる。
とにかくLaia CostaさんもJosh O'Connorさんもほんとにとってもよいから。近頃珍しいくらいに純で真摯なラブストーリーだから。

地味すぎて日本では公開されないだろうなー。 それに「がんばりが足りない」とかクソみたいなことを言う奴とかいそうだしなー。 こんな素敵なふたりにも生産性が、とか言うのかなー。

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