4.24.2019

[music] Rufus Wainwright

21日、日曜日の晩、Royal Albert Hallで見ました。日本にも行った”All These Poses”のツアー。ロンドンではここの一日のみの公演。イースター4連休の真ん中にやるなよ、なのだが本人はうさぎさんだよ~とかぴょんぴょん跳ねてやってきたようなのでよかったか。

デビュー20周年、”Poses” (2001)の全曲演奏、久々のバンド編成、ということなのでこれはもう気分は保護者で、はいはい、って聴きにいってあげるしかなくて、そうすると彼も大喜びで大はしゃぎでそれに応えてくれる。客席の前のほうは老人ばかり、普段はクラシックとかを聴いていそうな皆さんが息子の晴れ舞台を撮るかのように嬉しそうにカメラを構えたりしている。

日によって曲順やセットが変わっていく「ライブ」というよりきちんとパッケージングされた「ショウ」で、セットはNYでも東京でも同じで、トークの中味もおそらくそうで、それでも行くのかと問われれば、行くのよ。あのぐんにゃりとよくしなる飴のようにスウィートな声に浸るために。

前座のRachel Eckrothさんの最後の2曲くらいから。彼女、その後のライブでもバックバンドにいた。 バックはBowieやSuzanne VegaとやっていたGerry Leonardさんがギターと音楽監督、ドラムスはJeff BuckleyのバンドにいたMatt Johnsonさんで、申し分ないかんじ。

20:30くらい、”April Fools”(うれしい)から始まって、ビロードのように滑らかで繊細なバッキングにああこれだよねえ、って。 ひとりでがんばるソロもいいけど、”Rufus Wainwright” (1998)の曲群てJon Brionと彼がものすごく時間を掛けて練りあげたものなので、曲によっては思いっきりゴージャスに鳴るなかで喉を震わせる仕様になってて、そこに見事に嵌っていたと思う。
(逆に”Want One” (2003)以降のって、レコードでのアレンジが十分に洗練されてきてしまった分、ソロで歌ったほうが露わになっておもしろいのか、な?) オープニングのいでたちはシルクハットにガウン、ていうペテン師のそれだったけど。

RufusがRufusになった時代の音楽なので、ママ - Kate McGarrigleのことが語られ、Leonard Cohenのことが語られ、Joni Mitchellのことが語られる。Joniのとこで、出演した昨年の75th Birthdayのライブにも触れて、これから演る”Both Sides, Now”はSealが歌ったのよやんなっちゃうわよね、でもぼくだって負けないんだから、と。はいはい。

休憩を挟んでの”Poses”全曲披露は、もちろんすばらしいのだが、"Cigarettes and Chocolate Milk"のイントロからずっと、これってなんなのだろう? ってずっと思っていた。ものすごく変 – ふつうじゃないかんじがして、初めて聴いたときの感触がそのまま生々しく持続してあることにも驚いた。

一聴してわかる名曲がいっぱい詰まった名盤、というのとは違う、同じような感触をもつアルバムにJoni Mitchellの”Blue” (1971)があって、そういえばJoniもPoses - 肖像に拘る音楽家だよね、とか。
別に一緒に歌わなくても(歌えないけど)いい、ただあの声が自在によたってしなだれかかってくる音階にくっついたり離れたりしていく様に身を任せておけばそれでいいの。そうやっているとあっという間に一枚分終わって夢かよ、って思った。

アンコールの最後にはでっかい白 - 虹モフモフのガウンが出てきて、Easter Bunnyだよ! ってご満悦なのだが、その佇まいで歌われる”Across the Universe”は真の意味でUniverseを越えていくかんじはあった。

でもあのちょび髭だけ、ちょっとなー。

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