4.03.2019

[film] Todos lo saben (2018)

3月25日の月曜日の晩、Picturehouse Centralで見ました。

“A Separation” (2011)や”The Salesman” (2016)のAsghar Farhadi監督によるフランス・スペイン・イタリア合作映画。 
英語題は”Everybody Knows”。

ブエノスアイレスに住むLaura (Penélope Cruz)がふたりの子供 - ティーンのIrene (Carla Campra)とまだ小さい男の子Diego - を連れてスペインの田舎にある実家に戻ってくる。家族 – Lauraの妹 - のウェディングがあるからで夫のAlejandro (Ricardo Darín) は仕事で来れないと。

Lauraの実家はワイン農家で大所帯で、いま農場の経営権は彼女の父からそこで働いていたPaco (Javier Bardem)に移っていて、Ireneが散策ついでに地元の男の子と古い教会で遊んでいると、男の子はそこにあった古い落書きを指して、昔LauraとPacoはべたべたの恋仲で – “Everybody Knows” だったんだよ、と言われる。

ウェディングの宴は飲めや歌えでわいわい盛りあがって、Ireneも先の男の子と踊ったりしていたのだが突然眠くなった、というので部屋に連れていって寝かせる。しばらくすると雷雨がきて一帯が停電になり、Ireneの様子を見に行ってみると部屋には鍵がかかっていて、Pacoがこじ開けてみるとそこにIreneはいなくて、やがて携帯にメッセージが入り娘を預かったお金用意しろ警察にはいうな、と。

Lauraは泣き崩れてパニックになり、警察には言わないIreneに何かあったらどうしてくれる、なので誰も手を出せず、Alejandroが飛んできても、元警察にいた知り合いのおじさんに助言を貰ってもどうすることもできず、結局は身代金を用意して払うしかないそれでIreneが助かるのであれば、の方に流れていって。その議論のなかで唯一お金を捻出できそうなPacoとその家族や農場の連中との駆け引きとか、その過程で浮かびあがってくるLauraとPacoの過去とかがとても生々しく、これは家族をよく知っている誰かが裏で犯人と取引きしているとしか.. になって、だんだん誰がやってもおかしくないふうにぐらぐら揺れてくる。

前作”The Salesman”では、障害事件の本筋とは少し離れたところに犯人はいて、どちらかというと事件によって引き起こされた軋轢のほうがドラマをより生々しくものにしていたが、今回のもそれに似たかんじはある。 のだが、”Everybody Knows”から”Somebody Knows”に落ちてくるまでの謎解きに見ている我々がぐーっと寄ってしまうが故の、終盤のえ.. そんなだったの? なとこはちょっとだけ。

ドローンとかも出てくるので、どうしても謎解きミステリサスペンスを期待して前のめりに寄っていくとホシは裏口からすたこら、みたいな。見るべきとこがそこじゃなくて、LauraとPacoとAlejandroの3者(プラスでPacoの妻)のとぐろ巻き家族ドラマであることは十分にわかるのだが、なんか中心地点の熱量のレベルがすごすぎるというか。そんなに沸騰してわーわー言うなら最初からちゃんと警察とか探偵に相談したほうがよかったのでは、とか。

ただまあ、「みんなが知ってる」Penélope CruzとJavier Bardemの動と静の情念のぶつかりあいはすごくて、それだけでも見ごたえは十分だったかも。

あのあと、あの夫婦と親子はどうなっていくのか、とかいろいろ心配になって後を引く、という点も悪くないの。

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