4.03.2019

[music] Le Bucherettes

2日の火曜日の晩、HackneyにあるMOTH clubっていうライブハウスで見ました。

初めていく小屋で駅前はいろんな薬売りの人たちがいっぱいふらふらしててなかなかすごい。小屋も小さくて、O-nestよりも新代田よりもぜんぜんちっちゃくて、ステージは6畳くらいしかないのでは。NYのLower EastのPianosくらいにちっちゃい。

電車を間違って戻ったりしていた(この線はどうしていつも..)ので前座には間にあわず、セッティングを見ていると後ろで肩をそっと掴まれ柔らかくやさしい声でごめんねちょっとだけ通してね、と言われて振り向くとTeri Gender Benderさんだったり。始まる時もなんか後ろで鳥の羽がくすぐったいぞ、と振り向くとやはり彼女がステージにあがるところで、要するにそれくらい狭いところなの。

でもステージにあがると豹変して、スペイン語でがんがんアジりって煽りながらキーボードをひっぱたき、ギターをかきむしり、両腕振りまわす奇天烈なアクションで絶叫しながら身をくねらせる。タイトな真っ赤なドレスで頭にやはり赤い鳥の羽を突っ立てて、目の周りも赤く塗って、でもぜんぜん変なかんじがしないのはなんでなのか。 たぶんバンドや曲のイメージに100%同化しているからではないかしら。 南米にあんな鳥いたし、あんな鳥はあんなふうに鳴いたし、とか。

前回見たときは2015年、STUDIO COASTでFaith No Moreの前座で確か3人編成でドラムスは男子だった気がするが、今の編成は男子2、女子2で、ドラムスは女子でバンドとしてのうねり具合は数段あがっていた気がする。 昔のがりごりガレージなかんじも悪くはなかったけど、このドラムスの子、とってもよいわ。

フロアの沸騰ぶりも相当で、やや年配の女性(ばらばら)数名が錯乱気味に興奮して前方に押し寄せわーわーやって若い女性たちに怒られる、というあまり見たことない光景も見られたり。

基本はガレージパンクなのだろうが、キーボードが入るとポップになったりサイケになったり弾むこと弾けること。このごちゃごちゃ落ち着かなくて落ち着かないのが楽しくてたまんないかんじはどっかで、と思って、そうだLe Tigreだ! とか。 発表されたばかりの新曲 - "in/THE END"はエンディングではなく、Teriがフロアに突っこんでいった直後の熱を冷ますかのようにドラマチックに歌われていた。

歌い終わった後の笑顔がほんとうに素敵で、ありがと、ってひとりひとりの目をちゃんと見ていくの。全員彼女にめろめろ。
全部で約75分、アンコールなし。

あーよかったなー、ってスキップしてたら帰りの電車に乗る手前で転んで流血した。
まっ赤に染まっちまった一日だった。

Beth Gibbons - Henryk Górecki: Symphony No 3

音楽関連のをもういっこ。 3月28日、木曜日の晩、Barbicanの映画館で見ました。

ちょうどCD/VinylがリリースされたばかりのBeth Gibbonsが歌うポーランドのHenryk GóreckiのSymphony No 3 – “Symphony of Sorrowful Songs”。ポーランドでの初演時のライブ with The Polish National Radio Symphony Orchestraを収録したもので、CDとVinylにはおまけのDVDとして付いている映像をでっかいスクリーンで上映する。

上映前にはこれを彼女が歌うことになった経緯とか、ポーランド語も初めてだしスコアの音域がソプラノであること、そもそもクラシックの歌唱の経験もないこと、などからトレーニングの段階から苦労がいっぱいあったことが説明されていた。 

が、まあ結果はBeth Gibbonsとしか言いようがない。ずっと座ったままで音域もやや苦しそうなのだが、収容所の母と子の悲劇を歌う、その悲しみの中心に刺さっていく声の肌理は彼女がずっと追いかけてきたもので、Billie Holidayのそれと比較しうるくらい重くて、他の譜面に忠実なテクニカルな歌唱がどういうものなのか、想像できないくらい。

そしてこちらも、終わった後の笑顔がとても素敵なのだった。

BrooklynのSt. Ann's Warehouseに彼女のソロを聴きにいったのはもう15年以上も昔なんだねえ...

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。