4.29.2019

[film] Paperhouse (1988)

25日、木曜日の晩、BFIで見ました。上映後に監督のBernard Rose氏とのQ&Aつき。

BFIでは毎月最後の木曜日の遅い晩に”Terror Vision”ていうホラーやスプラッターの古典やカルトを上映するシリーズをやっていて、4月のがこれ(5月のは”Stage Fright” (1987) – Aquarius だって)。 火曜に”Pet Sematary”、水曜に”Us”、木曜にこれ、で自分にとってはホラー3夜連続。 でもこれ、従来のホラーとはちょっと違って、どちらかというとファンタジーの方だったかも。 
日本では劇場公開はされていなくてビデオの邦題は『ペーパーハウス/霊少女』..

一番最初に焼かれた35mmプリントでの上映で、この後に劇場公開された際のプリントとは違いがあるという(それが何かは後のQ&Aで)。 原作は50年代に書かれた少年少女向け小説、Catherine Storrの”Marianne Dreams”。 今ではメジャーなスタジオとなったWorking Titleの最初期の作品で、彼らの”My Beautiful Laundrette” (1985)とかが当たったので制作に踏み切ることができたのだそうだが、でもこの作品はカルトとしてずっと愛されてきて、会場も同年代くらいの男女でいっぱいだった。

Anna (Charlotte Burke)は学校でも家でもちょっと疎まれて浮いている少し変わった11歳の子で、ある日学校で紙の上に落書きした家のイメージが夢の中に出てきて、更に奇妙なことに絵とその夢の間には逐次的な継続性があって、夢を見るたびに同じ場所に建っている家が現れて、絵に描きたしたり変えたりしたものも追加されたり消されたりすることがわかる。 やがてその紙の家にはMarc (Elliott Spiers)という脚の悪い男の子がいて、さらに彼らを殺そうと襲ってくる顔のよく見えない男 - どうもAnnaの父親らしい - が現れるようになる。

夢のなかの出来事がAnnaの住む現実とどういう関わりを持っていて、なぜ夢のなかではそういう現れ方をするのか、それらが児童心理学的ななんかから明確に説明されることはないのだが、それ故に原っぱの真ん中にぽつんと建てられた建物の微妙な歪さが持つリアリティ(CGなんてないから実際に建てたのだそう)とあわせて誰もが自身の夢としてきっと見たことがある、そんな説得力で迫ってきたりして、よいの。 『ミツバチのささやき』(1973) に出てきた小屋と同じようなかんじの-。

理由もなしに追いかけて襲ってくる大人の男、という設定が(夢の中であるにせよ)ホラーになることはわかるものの、それ以外のところはAnnaの置かれた境遇とか想像力が生みだしたファンタジーでもあって、そこが映画の企画準備段階でホラーとして売るのか子供向けファンタジーとして売るのか、でいろいろ揉めた(で、制作が遅れた)らしい。

上映後の監督とのQ&A(冒頭に”Candyman”の続編に関する質問はNGだからね、って念押しが)では過去に余り作られたことがないタイプの作品で、でもなんとしても作りたかったが故のいろんな衝突や苦労が語られ、でもこうやって長いこと愛される作品になったことへの感謝に溢れたものとなった。

Marcを演じたElliott Spiersさんは20歳で亡くなって、Annaを演じたCharlotte Burkeさんはこれ1本で俳優を辞め、いまはLawerをやっているのだそう。

音楽については、最初Stanley Myersがだいたいのスコアを書きあげていたのだが、音響的に物足りないところが多かったのでHans Zimmerに短期間だけどできる? と聞いてみたら、やる!というので突貫で作ってもらったのだそう。いまのHans Zimmer作品にも通じるところどころで耳鳴り頭痛を巻き起こす見事な音響作品になっている。爆音で聞いてみたいな。

Bernard Roseさんて、80年代初にUB40の”Red Red Wine”とかFrankie Goes to Hollywoodの”Relax, Version 1”とかBronski Beatの”Smalltown Boy”のvideoを撮ったひと、と聞いていきなり親近感湧いた。

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