5.16.2016

[film] À trois on y va (2015)

24日の日曜日の昼、アンスティチュの特集『恋愛のディスクール 映画と愛をめぐる断章』で見ました。
『彼らについて』。  英語題は”All About Them”。 おもしろいったらー。

Micha (Félix Moati)とCharlotte (Sophie Verbeeck)のふたりはずっと一緒に暮らしてて新しいおうちの準備リフォームとかもしているのだが、Charlotteは軽犯罪専門の弁護士をしている友達のMélodie (Anaïs Demoustier)とずっと恋仲だったりするので、3人でいる時にもなんか微妙なそわそわ感が漂って、その微妙な温度差をつまんないと感じたMichaと、日頃のしょうもない仕事に振り回されてうんざり疲れていたMélodieはついMichaとキスしちゃって寝ちゃうの。

これでいちばんばたばた大変になっちゃったのがMélodieで、昔からの大切なCharlotteはもちろん、やさしくしてくれるMichaもなんか好きになっちゃったみたいだし、でもそんなことCharlotteには言えないし、MichaにはCharlotteとのことも勿論言えるわけないし、内緒ごとにがんじがらめになりつつも仕事は朝晩容赦なく鬼のように降ってくるし、ああ神様、になってしまうの。

おもしろいのは、Mélodieって決して恋愛に貪欲だったりぎんぎんの肉食系娘でもなんでもない、どちらかというとMichaとCharlotte それぞれの関係においては受け身でケアされてキスされる側にいるかんじなのに、ていうか、そういう断りきれないやさしい娘さんだからこそ恋も仕事もわんさか寄ってきちゃうんだ - でもかわいそうに、とは言わないよ - ていう描きかたをしているとこ。

MichaとCharlotteの新居になる家でMichaとMélodie、MélodieとCharlotteそれぞれが鉢合わせしてそれぞれが大慌てでMélodieに揃って別々の窓から「逃・げ・て!」 ていうところはカメラの動きや構図も含めて本当にじたばたおかしい。『彼は秘密の女ともだち』で「彼女」になってしまった彼の登場にびっくりしつつも受け容れてなんとなく修羅場を回避して前を向くAnaïs Demoustierさんのコメディエンヌとしての得難い魅力が全開で、彼女が好きなひとはぜひ。

そのまま3人で幸せに暮らしていけばいいのになー、というこちらの期待を少しだけずらして、やっぱりそうなっちゃうのかあ、みたいな終り方なのだが、でも「彼ら」はそういうことなんだからいいか… て思わせる、というか最後の浜辺のシーンがほんとうに美しくて素敵で忘れ難くて、”All About Them”の時間がぜんぶあそこにある、そういうかんじがとってもよかったの。

こういう修羅場も悲嘆場もなんもないけど、3人の恋愛と青春の断面がきちんと描かれている映画、ありそうで実はなくて、素敵なんだけどなー。なんで公開しないのかしらん。

この特集、隅から隅までぜんぶ見たいのになかなか行けないよう。くやしいよう。

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