2.16.2016

[film] O Passado e o Presente (1972)

31日の日曜日のごご、渋谷のオリヴェイラ特集でみました。
『過去と現在 昔の恋、今の恋』。英語題は”Past and Present”。

こないだのオリヴェイラの特集で見れたのは結局これだけだった。いろんな特集てんこもりで土日はバカみたいに慌ただしくて、他方でシネコンやってる映画で見たいのは殆どやってない、と思っているとスピルバーグもゼメキスも終わりそうになっててどうしようで、なんかとってもおかしな状態だと思う。

事故死した夫リカルドの墓を移し替えるということで未亡人ヴァンダのお屋敷にカップル2組(ひとつは夫婦、もうひとつは元夫婦)とひとり身のマウリシオが集まってくる。

ヴァンダは今だにリカルドのことばかり想ってめそめそしてばかりで、現夫のフィルミーノは完全にバカにされて相手にされず、リカルドの双子の弟ダニエルが家にくるようになってからその虐待(と言ってよいくらい)は酷くなって、悲嘆したフィルミーノは屋敷の窓から飛び降りてしまう。

けどすぐには死ねなくて死ななくて、彼が生死の境を彷徨っているときも、それぞれのカップルは現在の恋のただ中で愛してる愛してないで揺れまくったり悶えたりしてて、不謹慎極まりなくて哀れフィルミーノなのだが、そんなふうに滑稽でどす黒いのが恋ってもんよ、と高らかに「結婚行進曲」が流れまくる。

やがて事故で亡くなったのは実はダニエルで、ヴァンダが会っていた男は実は死別したリカルドだったことがわかったりするのだが、そうするとなにが起こるのかというと。

死によって失われてしまった恋、それは失われた過去で永遠に取り戻すことはできないのだが、だからこそ焦がれて止まない。恋が永遠を目指すものであるなら、それは失われた時間の中にしかないのではないか、ていう金持ちの倒錯と変態と。 

朴訥な庭師のおじさんとちょっとかわいいメイドがいて、彼らが普通の民代表としてちょこちょこ出てきて、ラストは前途まっしろな若者のウェディングが描かれるのだが、それらとの対比でヴァンダとその仲間たちはブラックになってしまうかというと、ぎりぎりでならないところがすごい。 こういうもんだから、て堂々としている。

これは「挫折した愛の四部作」の第一部で、残りの3つは以下。

Benilde ou a Virgem Mãe  - Benilde, or the Virgin Mother (1975) 「ベニルデまたは聖母」
Amor de Perdição - Doomed Love (1978) 「破滅の愛」
Francisca (1981) 「フランシスカ」

来週、リンカーンセンターで4部作をぜんぶ35mmプリントで上映するんだよ。いいなー。

http://www.filmlinc.org/series/manoel-de-oliveiras-tetralogy-of-frustrated-love/

見たことあるのは「破滅の愛」。すごかったんだよう。もう一回みたい。

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