2.29.2016

[film] 桜の代紋 (1973)

18日、木曜日の晩 、時間が空いたので、京橋の三隅研次特集で見ました。
英語題は"Cherry Emblem" とかで、10年後くらいにJames Gray +  Joaquin Phoenix でリメイクしてほしい。

大阪(? 関西弁)で暴力団担当のベテランやくざ刑事 奥村(若山富三郎)がいて、勢力伸び盛りの組にそろそろいい加減にしろやとか言っていたら、闇で銃器一式を仕入れたあとで警官を殺して逃走、ていう事件がおこって、主犯はもしゃもしゃアフロでなに考えてるかわからない凶暴な石橋蓮司で、そいつを若山がなんとか捕まえて尋問するけど知らんぷりするので静かにブチ切れ、何日も眠らせないでおいたあと、とつぜんアフロに柔道着を着せて道場で玩具みたいにべしゃべしゃ畳に叩きつけるのが最初のすごいとこ。

でも、そうしている間に信頼しているやくざ(大木実)の組はひとひねりで潰され、かわいがっていた部下(ぴちぴちの関口宏とか)は殺され、内部に密通者がいることがわかってふざけんなになった途端にそいつも消され、ついには自分の家族にまで手を出されて、わかりましたもうやめてください、て事務所にいったら当然のように雑布みたいにぐさぐさの半殺しにされて、さて。
ここから先は書かなくても。

勝プロ製作だし、と身構えていたほどバイオレントな描写はなくて(でも、ぴゅぅー、ていうのはやめてほしい)、派手なアクションも絶叫も慟哭もなくて、寡黙でごにょごにょいう奥村のぶっころすぞてめえ、の不穏な目つきがひたすらおっかなくて、その目がじーっとなにかを伝えたらあとはドン!(壊)、なの。 特にラストのたったひとりの殴りこみの殺気 - 殺気ってどういうふうに画面に映りこんでくるのか - 例えばこんなふうで、奥山の赤黒く腫れあがった顔が濡れていると思ったそのあと、ひたすら唐突で瞬時の問答無用の圧殺をもたらすなにかで、どこまでも容赦ない。 ひー、しか出てこない。

どうやって撮っているのかわからないが、大阪の街や路上がところどころ水やガラスの上に浮かびあがっているような不思議な透明な見え方をしていて、やくざも警察も彼らの繰り出す暴力も権力も互いに張りめぐらされたいろんな糸も、結局のところ脆いなにかの上でバランスしているだけで、奥山ひとりの沸点越えであっという間に崩れさり、大ボスの大滝秀治に撃ち込まれた渾身の銃弾で揺さぶられた椅子の反動はそのまま奥山を牢屋に放りこむ。

とにかくおっかなかったよう。

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