2.12.2016

[film] It Follows (2014)

30日の土曜日の晩、六本木で見ました。終わっちゃいそうだったし。

"The Myth of the American Sleepover” (2010)の監督David Robert Mitchellがホラーを、と聞いてふうむ、だったのだが、でもありかも、て思っていた。
あの映画が映しだしたのは、夏の終りのかけがえのない瑞々しい青春の、甘酸っぱいひと夜の思ひ出のように見たいひとには見えてしまうのかもしれないが、いやいやあんなふうに月夜に若者がじゃらじゃら集まってくるなんて不気味だしおかしいよね蟹の産卵じゃあるまいし、みたいに言うことだってできないことはなかった。のでは。

であるから、これはこわそうだぜったいこわいに決まってる、と決めつけていて、だから見るのもあんま気乗りしなくて。 いつそいつがくっついて追っかけてくるのか、拳を握りしめながら見た。

なにかに怯えて取り乱した女の子が下着姿で家から飛び出してきて、逃げるように車で遠くに走り去って、ひとっこひとりいない場所から携帯で家族に別れのメッセージを伝えて、明け方には変てこな格好で死体になっている、ていう冒頭。

高校生のJay (Maika Monroe)は恋人と映画見にいって、周りにいる人々のうち自分は誰とすり替わりたいか当てゲームをしていたら、彼に見えているひとがJayには見えないことがわかって、彼は慌てて映画やめよう、ってそこを出て湖岸に行って車内でセックスしたあとで、変なことを言う。

君になんかをうつした。そうすると他人には見えない「それ」が追っかけてくる、「それ」はいつも違うやつで走らないけどどこまでも追っかけてきて君を殺そうとする、セックスして他人にうつすと追っかけの順番が変わって「それ」はそっちを追っかけるようになるから、嫌だったら誰かとセックスすれば、て告げて彼はどっかに消えてしまう。(やりにげよりひでえ)

それは時と場合で違ったりしていて、既に死んでいるひとの相がでてて無表情で、尿垂れ流したりしながらこっちに歩いてくる。 決して走らない(George A. Romeroのゾンビ定義)けど止まらないでやってくる。やってくるのが見えたら一目散に遠くに逃げるしかない。

こうして妹のKelly (Lili Sepe)とか近所の幼馴染のPaul (Keir Gilchrist)とかメガネ娘とかと一緒に逃げたり籠ったりがんばってみるのだが、「それ」はなんだかんだ突然やってきて、しかもJayにしか見えないのがきついしこわいし。 しょうがないのでそういうもののけを気にしない同級生と寝たり赤の他人と寝たりPaulと寝たりしてみるのだが … おいおい。

“The Myth of American Sleepover”との共通項でいうと水が湛える不気味さこわさ。キスもセックスも、水(分)を介して行われて、その間をぬってなんか現れるていうところと、デトロイト郊外の半分壊れていて、そこを親のいない子供達がわらわら動き回っている風景と。
(最後のほう、屋根の上に全裸で突っ立っていたのは…)

「それ」っていうのは誰とでも寝まくるティーンの貞操に関する呪いじゃ、とかいうのはあまりにあまりの解釈かも。

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