11.09.2015

[art] Whitney Museum of American Art

1日の日曜日の午前、やっぱし行っておかないわけにはいかんじゃろ、ということで行きました。
わたしはそもそも前のMadison Aveにあった旧館の、ただの白い箱、みたいな佇まいが大好きで、特にあのやたらでっかくてゆっくり機械みたいに(機械だけど)動くエレベーターを愛していたので、今回のリニューアルはあんまし賛成でもなかった。  交通の便よくないし、High Lineは木とかお花を眺めて愛でる場所でいいじゃないか、と。 でも行くけど。

列が長くて入れない、ということはなくてすんなり入れて、そのまま8Fまで昇ってそこから下りていく。Renzo Piano設計の建物は、いつものように透明すぎてあんまいうとこはないの。
以下、だいたい見た順くらいで。

Archibald Motley: Jazz Age Modernist
祖父は奴隷で、New Orleansで生まれてChicagoに移ったArchibald John Motley Jr. (1891–1981) のRetrospective。 アメリカの都市、特に20年代のハーレムやAfrican Americanカルチャーの黎明期を描いた最初のほうの画家。名前は知らなくても絵を見たことがある人 - 見たことある気がする人(相当いろんなところでそのスタイルは模倣されている) - は多いはず。

館内の解説では同様に近代アメリカの風景を描いた画家としてEdward Hopper, Thomas Hart Benton, Reginald Marshといった名前が挙げられていたが、彼らよかきちんと紹介されたことはなかった気がする。

滲んだ輪郭でゆったりと舞うような仕草、動作をするみっしりした人たち、「群像」として括られがちな、でもある存在感を示す肖像たち。
女性のヌードになった途端にとっても艶かしく艶っぽくなる偏向ぶりがとっても素敵。
あと、遺作となった“The First One Hundred Years” (1972)のイメージの強さ、豊かさの見事なこと。

Frank Stella: A Retrospective
別枠でちゃんと書いたほうがよいかもで、まだいろいろ考えていたりもするのだが、少しだけ。
いろんな人たちやメディアが賛否も含め既に書き始めていて、それぞれおもしろいねえ。
5階のでっかいスペースと屋外のバルコニーまで使って最近のでっかいのも含め容赦なくがんがん置いてある。
50年代中頃の地味なミニマルの断線とか断層とか突端とかがだんだん膨らんでいって80年代、色彩と共に大爆発してヴィヴィッドで曲線だらけの強烈なオブジェ群へと華やかに変貌した、そういった彼の突然の変化に関する論考を80年代の美術手帖とかで散々読んだ記憶があるが、もうなんも残っていないや。

最近の作品はでっかいのばかり、それだけで場所を取ってしまい初期からの変遷をこまこま追うかんじにはなれないのだが、ものすごい断絶や飛躍は想像していたほどには感じられなくて、むしろその表象を辿っていくと、なんかよりシンプルでわかりやすい方向に向かっているのかも、ていう気がしたくらい - それは近年のオブジェの節操を欠いた肥大化のように見えなくもなくて、評に賛否の否が出ているとしたらそっちのほうかも。

テーマとしてどう、というのはあるのだろうが、彼の50-60年代の平面の抽象は色彩もエッジもまずかっこよかったんだよね。 あのままでよかったのにさー、ていうのは簡単なのだろうが。

The Whitney’s Collection
7階で収蔵品からの抜粋を。 この辺がいちばんおもしろかったりもするの。
近代美術を扱うと言っても、MOMAのグローバル指向と比べてWhitneyは米国Localで、とっても勉強になって、ここで教わったアーティストも随分いたし。
新装開店再お披露目ということで御馴染みのWillem de Kooning, Edward Hopper, George Bellows, Charles Demuth, Arshile Gorky, Gerald Murphy(見たことないやつだった), Charles Burchfieldとか、あとは古いフィルムや記録映像を延々上映している部屋があって、Maya Derenとかも。

当然のようにどれもこれもてんでばらばらなんだが、そこがなんともいえず心地よい。 心地よいって変だけど。

あと、ルーフトップも高さがちょうどよくて気持ちよい(お天気次第だろうけど)。 自由の女神も割と近くに見えるし。 Orson Welles(ああ特集ぜんぜん行けなかったよう)の”Too Much Johnson” (1938)で、Joseph Cottenが屋上をぴょんぴょん飛び回っていたビルはあの辺かしら? とか。

エレベーターはいっこ搬送用と思われるでっかいやつがあって、それが少しだけ旧館の面影を。内側に少し装飾があって変な色気だしてたのがすこし残念なことでした。

1FのMuseum Shopのほぼなーんもないそっけなさは前と変わらず。

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