5.16.2015

[art] The Art Institute of Chicago

3日の日曜日、午前9時過ぎにシカゴに着いて11時くらいにホテルに入って、通りの東の彼方に見えたのがここで、とりあえずはここを目指すことにして、途中でハンバーガーを食べてからなかに入る。 ホテルから歩いて10分くらいのとこだった。

どこかから“#1 Museum in the World 2014”ていうのを貰ったらしく、その張り紙がそこらじゅうに貼ってあり、フロアマップを手にするなりおねえさんが寄ってきて「なにをお探しですか?」て聞いてくる。 デパートに買い物に来たわけじゃないので、だいじょうぶですありがとう、て返す。

ここに来るのは2回めで、来ると必ずやらなければいけないのがフェリスごっこで、それはみんなで手を繋いでフロアをまわって、『グランド・ジャット島の日曜日の午後』のところで腕組みをして目をまわす、というやつなの。 手をつなぐのはできなかったけど、後のほうのはやった。「フェリス」ももう30年前のことなのか …    そばにいたおばさんふたりが「あらやだ猿がいるわ」「あらあらほんとだわほんもんの猿なのかしら」「なんで猿がいるのかしら」とかずーっと話している。 それにしても変な絵だよねこれ。

最初にみた企画展がこれ。

Ireland: Crossroads of Art and Design, 1690–1840

アイルランドのアート総合物産展みたいなかんじで、絵画から宝飾、家具、テキスタイル、製本、楽器、などなどを幅広く並べてある。 わたしがアイルランド熱にかかっていたのは90年代初のことで、そんときはAir Lingusで飛んで、GallwayからDublinまで旅していっぱい楽しんで、そのときのことが蘇るのだったが、まあ大いなる田舎、よね。田舎であることの覚悟の度合い、というか腰の据わり具合が半端じゃないの。

製本のコーナーのどうやって使うのか見当もつかない器具道具とか大小のきれいな本がいっぱいのところがよかった。Book of Kellsくらい持ってくればよかったのに。(むりだよ)

アイルランドってやっぱし言葉(詩)と歌と音楽とお食事の国だよねえ、というのを改めておもった。 久々にアイリッシュベーコンが食べたくなった。

おみあげコーナー、ちょっと悩んだけど結局買わず。 笛とか、昔買ったやつあるでしょ。

Shatter Rupture Break

この日で終ってしまう予定の企画展で、これをいちばん見たかった。

第一次大戦に向けて社会も生活も急激に変化を遂げていた今から100年前、「美」のありようも大きく変わっていって、統合や融和を表象する天上のなにかから分断化、文節化、機械化、歪んで崩れて壊れてがたがたぎすぎすしたものの「リアル」とかにその磁場を変容させていった。
この美術館が”The Modern Series”の第一弾として展示する”Shatter Rupture Break”は、同館の収蔵品からこのテーマにそった映像、写真、絵画、コラージュ、彫刻、本、オブジェ、壊れた身体、テキスト、などを多様に多面に紹介していて、ちょっと教科書みたいではあるが、わかりやすくていかった。
アメリカ人て、こういう欧州の文化史とか思想史とかを整理させるとほんとにぱきぱき思いきりよく捌いてしまうねえ、と改めて感心する。
んで、もちろんそれだけではなく、現代に生きる我々との交錯点も示すの。 爆発的に肥大するデータの海のなか、死んだ目をしてcopy & pasteと”Like”と炎上にまみれた「日常」を生きると言われる我々との。

薄暗い場内、大きめのプロジェクタでリピート上映されていた映画はFernand Légerの”Ballet mécanique” (1924) - なんかなつかしー - とLuis Buñuel の”Un chien andalou” (1929)と。
壁に引用されていたテキストは、アドルノ、エイゼンシュタイン、イェィツ、アポリネール、ベンヤミン、カフカ、などなど(もう思いだせないや)。

John Gossage: Three Routines

“Shatter Rupture Break”の反対側のギャラリーでひっそりとやっていた企画展。これもこの日が最終で、こんなちっちゃいスペースでレトロスペクティヴ(宣伝文句)やってる。 80年代のベルリン、最近の、アメリカを中心とした旅日記、過去のキャリアを総括したメドレーの3つのRoutine。
目の前のデッサンと遠くの、届かない風景のあいだをブリッジするかのような絶妙な段差と距離感がなんでか不思議な親密さをもたらす、そういう写真群。 いいよねえ。

あとは近代絵画を中心にふつうに。
Hopperの”Nighthawks” (1942)をじっくりと。水族館のガラスの向こうの夜鷹たち。
あとはPissarro、Renoir、Monetとか、いろいろ。 MetとかMOMAだと大抵すごい勢いで走っているのだが、ゆっくりできたので3時間くらいだらだらしてたかも。

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