11.12.2013

[film] Trance (2013)

9日の土曜日、椿姫のあと、新宿に移動して見ました。 
夕方のパンクまでまだ時間があったのでそれまでの穴埋め、というかんじ。

Danny Boyleってこれまできちんと見ていなくて、特に好きというわけでもなくて、みんなが騒いだ"Trainspotting" (1996) のどこがよいのか、まったくぴんと来なかったのね。
あそこに出てきた「英国」の「若者群像」みたいのが、ぜんぶ嫌いで、これまで英国音楽を聴いてこなかったような連中が「最高の音楽映画だ!」とか褒めているように思えてならず(偏見です)、彼がロンドン五輪の式の総監督をやる、と聞いたときもそらみろやっぱし、てかんじだった(ええ、偏見ですよ)。

なのでまったく期待せずに見て、その割にはよかったかも。 短かったし。 James McAvoyもRosario Dawsonもすきだし。

オークションハウスに勤めるSimon (James McAvoy)とFrank (Vincent Cassel)率いる強盗団(4名)がグルになって、出品されたゴヤの"Witches' Flight" - 「魔女たちの飛翔」(1798) をセリの途中に強奪しようとする。のだが運び出す手前でSimonとFrankの間で小競り合いがあって、結果絵はどこかに消えてしまう。 ありかを知っているのはSimonのはずだが、彼は記憶がない、と言い張り拷問しても出てこないところをみると、どうも頭を殴られてしまったのが原因らしい。

催眠療法でなんか引き出せるかも、と療法士としてSimonが選んだのがElizabeth (Rosario Dawson)で、雇われた彼女がトランス状態の彼のあたまからひっぱりだしてきたものは。

失われた名画とかいうのは、消滅したわけではなくて、どっかに必ずあって、誰かがどこかに隠しているはずだし、失われた記憶も同様で、どっかに必ずある、どこかに誰かが隠した、ということも考えられる。 トランス(状態)、というのはそういう場所ぜんぶに光をあて、瞳を全開にしてオールアクセス可にするその状態とその時間で、そうすることでみんな幸せになれるのかしら、というのはテーマのひとつで、それって犬みたいにいろんなとこを嗅ぎまわる依存症とかなんとかフェチとかストーカーとかを喜ばせるだけじゃないの? とか。 あと、その状態のトリガーをひくのは誰なのか、なんなのか、とか。 それがもたらすのは快楽なのか、服従なのか。 服従なのだとしたら、それを強いるのは誰なのか、なんなのか、とか。 三つ巴のSM、とか。

「魔女たちの飛翔」をなにがなんでも手に入れる/取り戻す、というのがいつの間にかテーマから外れて、失われてしまったなにかを見つけるゲーム、にひっくり返ってから、物語は変な具合にどんどん捩れていって、その転がりっぷりがおもしろいといえばおもしろい、のかもしれない。 
そもそも「魔女たちの飛翔」っていう絵はさ。

James McAvoyもRosario Dawsonも、裏の裏まであるような得体のしれないキャラクターをしれっと演じるとうまいし、こわいよねえ。
剃毛の件とか、そういうものかー、とすこしびっくりした。

音楽(Rick Smith)はさすがにこなれていて、おもしろい。 捩れたまま上滑りしていくサイケなエレクトロ。 もうすこしダークなゴスっぽいクラシックでもよかったかも。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。