5.28.2012

[film] Moonrise Kingdom (2012)

ロンドンは強い強い日差しの完全に夏で、目がまわって死にそうになる。
仕事で連れているひとがいたので、ホテルに入ってからお食事して、8時くらいに終わってじゃあおやすみなさいー、と手を振って部屋の扉を閉めて10分後、何事もなかったかのようにもう一回外にでてLeicester Squareに向かう。 9時過ぎても空は明るいんだよ。

先週、Moving Imagesでの試写にいったアストリアの住人に自慢されて悔しかったのだが、こっちに来たらちょうどやっていたので見る。
開始時間を9時だと思っていたら、9:50だった。 一番眠くなる時間なのにどうしてくれよう。
時間が少し空いたので、Foyles(本屋)まで歩いて、閉店直前のとこをざーっと見てGranta MagazineのBritain特集号だけ買った。

映画館はがらがらだった。 20人くらい。 土曜のこんな時間とはいえ、まだオープンしたばかりなのに、地下鉄にも結構ポスター貼ってあるのに。
でもなんとなくだけど、Wes Andersonの組みあげる世界のかんじって、英国人のセンスとは微妙にずれているかんじがしないでもないかも。  それ言ったら日本人にとっても同様だろうけど。

アメリカの東の上のほうのどっかの島に駐屯している(Camp Lebannon)ボーイスカウトの一隊のひとりSam (Jared Gilman)と地元の娘Suzy (Kara Hayward)がお互いを好きになって、逃げちゃえ、って逃亡するの。
で、仲間の子供たちとか、ボーイスカウトのリーダー(Edward Norton)とか、島のシェリフ(Bruce Willis)とか、娘の両親(Bill MurrayとFrances McDormand)とか、いろんなのを巻きこんだ大騒ぎになっていくの。 で、最後にとてつもない大嵐がくるの。

Wes Andersonの映画って、基本はxxごっこをやっているかんじで、つまりは、「こんなんなっちゃったりして...」とか「あんなんなっちゃいましたとさ...」、みたいのを延々冗談みたいに重ねていって、そんななかに突然、矢のように鋭く生々しい時間と瞬間 - そこにははっきりと永遠がある - を現出させてしまう、われわれはその手口に痺れてきたのだと思う。 それらは最初から合成着色料とか人工甘味料が満載の作りモノ、お菓子であることがはっきりわかっていて、でも彼が切り取ってみせる表情、ひととひとが向かい合ったときの動き、その動きの速さ、などなどに散々うっとりしたり、泣かされたりしてきた。 え? とか、なに? とかあっけにとられつつも、自分勝手でいいかげんな登場人物たちのお互いに対する揺るぎない思いとか妄信のなかには真実としか言いようのない美しいなにかがあって、だから彼らはいつだって死を恐れないし、たとえ死が引き裂いたとしても、へっちゃらなの。  なにがへっちゃらなのかはわかんないけど。

これまで"The Royal Tenenbaums"で一族郎党の物語を"The Life Aquatic with Steve Zissou"で探検隊を "The Darjeeling Limited"で兄弟愛とインドを、 "Fantastic Mr. Fox"でアニマル一家を描いてきて、こんどのはボーイスカウトと初恋と子供たち。 (コスチュームに対する偏愛ってあるよね、Wes Anderson)
いちばんきゅんとくる。 くるひとには。 こない人には当然こないであろう。

子供たちは大きな家の蜂の巣の中みたいに仕切られた部屋にそれぞれぽつんぽつんと暮らしてて、大人とは切れてて、本とレコードと猫が手放せなくて(これだけで泣けるねえ...)、ここと大人世界の中間にいるのがボーイスカウトなの。
そんななか、ふたりが逃げてふたりだけの世界をつくる入り江を彼らは"Moonrise Kingdom"と名付ける。

ふたりがここで過ごすシーンは、どこを切っても、なにからなにまで美しい。
最初のほうの猫とレコードプレイヤーから始まって、ふたりが両端からジャンプするとことか、Françoise Hardyで踊りまくるとことか、キスするとことか、ぜんぶすばらしいとしか言いようがない。

Wes Andersonのほとんどの作品を撮っているRobert D. Yeomanのカメラがよい。 絵本の淡い色彩なの。
Suzyの薄青のシャドウとか、緑のカナブンのピアスとか。

それに対して大人の世界は、いつものかんじで、でも今回は世界の向こう側(子供たちの届かないとこ)で、あたふた動き回る印象が強い。みんな鉄壁でうますぎるので全然心配いらないのだが。 今回はなかでもEdward Nortonが見事でした。 あの、子供みたいな老人みたいな表情と演技。

子供と大人、このふたつの世界が激突するクライマックスの嵐のシーンは、突然昔のノワールみたいになってしまう。("Manpower" (1941)とかあのへん) 
そして、こういう緩急のある波乱万丈の展開が、それ自体美しいひとつの絵本となって、子供たちの手から手へと、擦り切れるまで読みつがれて、語りつがれて、伝説をつくる。 Moonrise Kingdomはその真んなかにあって、やがて浮かびあがる月の光に照らされるのを待っているの。

会社とか仕事とか、ぜんぶやめて、レコードと猫抱えてどっかに逃げたくなった。

あと、音楽もすんごくよい。特にエンドロールのとこで流れるオーケストラの2品は必聴。
子供版チューブラー・ベルズ。











 



書くのはまだ先になってしまうかもしれないし、それまでに忘れないように日曜日の動きをざっとメモしておこう。

National Galleryで"Turner Inspired: In the Light of Claude" → National Portrait Galleryで "Lucian Freud Portraits" → 同 "The Queen Art & Image" → Rough Trade Eastでいっぱいお買いもの →  PoppiesでFish & Chipsとレモネード →  Design Museumで "Christian Louboutin" → 一旦ホテルに荷物置いて着替える → Tate Modernで "Damien Hirst" → 同 "Alighiero Boetti: Game Plan" → Victoria & Albert Museumで "British Design 1948 - 2012: Innovation in the Modern Age" → 仕事のお食事 → Empire Leicester Squareで "The Raid: Redemption (2011)" → 11:30pmにホテルに戻る。


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