5.12.2012

[film] 歌女おぼえ書 (1941)

連休あけでたるくてたまんないので、月曜日の晩に神保町で見てかえりました。

『清水宏の女性映画』の特集からのいっぽん。
歌女のお歌(水谷八重子)を含む旅芸人の一行が山道を歩いていってある宿に泊って、お金に困った一行はお歌を売り飛ばそうとするのだが、そこに居合わせた茶問屋の旦那がかわいそうに思ったのか彼女を連れて帰るの。

で、お歌は問屋の人たちからも子供達からも嫌われてかわいそうで、でも旦那さまのためにってがんばるのだが、そのうち旦那さまが突然しんじゃうの。

東京の大学から戻ってきた長男(上原謙)が店を建て直そうとするのだが、帳簿はぼろぼろで従業員ぜんぶに暇をだして自分も大学やめないとやっていけないことがわかる。
そんな彼にお歌は、弟と妹のふたりの面倒は自分がみるから大学はやめてはいけません、ていうの。
そしたら、彼のほうは自分と結婚してくれそれなら安心してふたりを任せられるし、ていうの。 (このへん、ちょっとびっくりする)

で、彼女は懸命に子育てして、昔つきあいのあったアメリカの会社との取引も再開できるくらいにまでがんばって、立ち直ったころに彼が大学を卒業して戻ってくるのだが、その日に昔自分を捨てた旅仲間と再会した彼女は、あたしを連れてって、と旅芸人の世界に戻ってしまう。(ここもまた、びっくりする)
突然消えてしまった彼女を彼は追っかけてきて、そいで。

最初のほうは、山道をぽつんと歩いて行く一行の遠くからのショットで、それだけで、あー薄幸の女のひとのお話だきつくて哀しそうだー、と思って見ていたのだがだんだんそんなかんじではなくなっていって、最後のあれは、めでたしめでたし、なのかしら?

お歌のクローズアップはほとんどなくて、彼女のぽつんとした小さい後ろ姿を収めた画面がほとんどなのだが、それだけでじゅうぶんすごい。水谷八重子がすごい、ということなのかもしれんが、安易に彼女に寄っていかず、徹底して彼女との距離を遠くから保とうとするカメラもすごいと思った。

べたべたしてなくて、でもさらっと泣けてしまうかんじが素敵でねえ。

しかし、上原謙はそんなにもてなかったのか。 いやとにかく一途だったんだから、ということ?

あんなふうにひょい、ってどさ回りに出たいなー。

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