10.14.2023

[film] Taylor Swift: The Eras Tour (2023)

こっちから先に書く。
10月13日の晩、109シネマズ二子玉川のIMAXで見ました。チケット絶対取らなきゃ、ってロンドンから戻った晩 - 6日の0:00にネットに入ったらガラガラで簡単に取れて、当日も(初日の一回めなのに)割と空いてるし自分も含めて老人ばかりが目立つ。このエリアだけのことなのかこんなことでよいのか。

ここのところパレスチナのことが本当にきつくてつらくて、こんな文章でも書いていないとやってられない状態から抜けられたらとー.. どっちみちむりだけど。

グローバルでの一斉公開で時間がなかったのか、字幕は一切ついていない。でもせめて開始前に表示されるフラッシュ発光の警告くらいは別に看板立てたりしておくべきでは?

Taylor Swiftが17年間のキャリアを振り返り10枚のスタジオアルバムの内容を網羅した”Eras”ツアー、LAのSoFi Stadiumの3日間のライブを撮って編集したもの。実際のライブは3時間半くらいだったのを衣装替えのパートなどを削って2時間48分にした。John Wick: Chapter 4” (2023)より1分短いけど天国に送った総人数はこっちのが遥かに多いと思われ。

Taylor Swiftはずっと追っかけている、というほどでもないのだが、Taylor’s versionのは買って聴いている。がちのファンと議論なんてできないけど曲がかかったらふんふん♪ くらいはできる。

監督はSam Wrench - Billie Eilish、Lizzie、Brandi Carlisleなどのライブフィルムを撮ってきたひとらしい。技術的なとこも含めていまのライブフィルム最前線、と言ってよいのでは。音響は後からどうとでも、なのかもだけどちっとも揺れずにぐるぐる回って近寄るカメラの動きとか、なにをどうやっているのやら見当もつかない。

それがどーした、かもしれないけどオープニングの登場シーンの演出とか、どっかの国のオリンピック開会式なんか軽く超えている、あんなの相手にもしないかんじの威風堂々で痺れる。

昔のライブフィルムに必ずあった気がするバックステージの様子やリハーサルの光景、インタビューや本人のコメントなどは一切ない。その始めから終わりまで、彼女が歌って演奏してダンサーやバックヴォーカルの人たちと踊る、ステージ上でセットが変わって次々と起こる、目の前で起こっていること、それを見つめて一緒に歌ったり泣いたり笑ったり抱きあったり、映るのはステージの上のそれらと客席のその切り返しのみ。 それを見ているだけなのに何度も泣きそうになる。いまのこの瞬間を永遠にして! 両者のその想いがぱんぱんに充満している。

実際のスタジアムのライブなんて小さくて見えないし周囲の酔っぱらいとかおしゃべりはうるさいし、足は痛くなってくるし、ぜんぜん集中できるもんではないお祭りの雑踏で(自分は)。 でもこのフィルムには彼女がこのツアーで示したかったものがぜんぶ詰まって右から左に広げられっていって、ファンはその波に乗って光に溺れて一緒に歌って踊って、本当に楽しそう。

自分にとって大切なライブフィルムだと、例えば”Madonna: Truth or Dare” (1991)とか”Ziggy Stardust and the Spiders from Mars” (1979)なんかがあって、どちらも偶像とかシンボルをでかでかとぶちあげて巨大化して、その企てや思いも含めた虚構性をぜんぶわかって泣きながらしがみつき、互いに抱きしめるようなところがあった。でもここのTaylor Swiftはそんなのを必要としていない。彼女のこれまで歌ってきたことを、その世界を雲のように森のように絨毯のように広げてみせて、そこにみんながわらわら乗ってくる、それだけ。

楽曲だと”Red”と”1989”からのがよくて(単に好きなだけか)、ヴィジュアルだと”Reputation”のがすごかった - あのヘビ!

エンドロールでのNG集とファンの子達の笑顔の対比もよくて、いいなー、こんな忘れられない夏 - 一生の思い出になるよね、って。

それにしても日本の映画館、静かすぎ。 上映前のくだんないマナー広告ばかり見せられてて、騒いでよいのは応援上映だけ、とか思いこんでない? こんなのきゃーきゃー拍手して騒ぎながら見ないでどうするの?


ああ、でもパレスチナを、子供達を …

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