10.25.2023

[film] The Creator (2023)

10月20日、金曜日の晩、109シネマズ二子玉川のIMAXで見ました。
金曜日の初日に“Killers of the Flower Moon”とこれと(殺人者 or 創造者)どっちを見るべきか、問題はこっちにした。あんま考えなくてよさそうだったから。 『ザ・クリエイター/創造者』

監督は”Rogue One: A Star Wars Story” (2016)のGareth Edwards – デビュー作の“Monsters” (2010)からずっと好き。”Rogue One”も。彼と共同脚本で“American Pie” (1999)や“About a Boy” (2002)のChris Weitz。Gareth Edwardsのランドスケープをまるごと描いて、その地平線を貫いてやってくる怪物とかその足元で抗う異形の – だいたい反体制だったりする - 人たち、という(いかにも、なガキの)構図も含めてなんか好きなの。

2055年、AIがLAで核弾頭を爆発させて、西側諸国はこれをAIによる人類への攻撃とみなして対AI戦争を開始、そこから5年が過ぎて、戦争は止まずに寧ろ広がりAIを平和に活用して共存している“New Asia”を中心としたアジア諸国への戦争・侵略に近いものになっていた – かつてどこかで聞いた/いまも聞こえる - そんなおはなし。

米軍兵士のJoshua (John David Washington)は身重の妻Maya (Gemma Chan)とNew Asiaの海辺の町に平穏に暮らしていたが裏の任務はやばいAIを創り出したクリエーターである”Nirmata”を探し出すことで、その任務がある晩の米軍による急襲によりばれてしまい、取り乱したMayaはひとり船に乗って沖合に逃げだしたものの、軌道上でミサイル爆撃する米軍の最終兵器NOMAD(North American Orbital Mobile Aerospace Defenseだって。デススターとしか思えない)によって一瞬で消されてしまう。

そこから更に5年後、LAのグラウンドゼロで清掃作業員をやっていたJoshuaは軍の幹部に呼ばれてNirmataがNew Asiaで新たに開発したAI兵器を破壊するミッションを打診される。やる気なんてなかったが、Mayaが生きている可能性がある、と証拠らしき動画を見せられる(それをなんで疑わないの?)と彼は軍と一緒に現地に向かって、泥沼のなか敵の施設に入ることに成功して、狙っていたAIロボット「シミュラント」を見つけるのだが、それは穏やかな少女の顔かたちをしていて、すぐに破壊することを躊躇っていると軍がやってきて、Joshuaは自分でもわけわからないままに”Alphie”と名付けた彼女(Madeleine Yuna Voyles)を連れて敵と味方が入り乱れる戦場を突っ切っていく。彼はなんとしてもMayaに会いたい、っていう一心で、戦争がどうなろうが人間が負けようがどうでもよくて、Alphieをつれた子連れ狼になってしまったのもそのせい。

ここから先はJoshuaとAlphieを捕まえようとする圧倒的に多勢の米軍(+NOMAD)と、彼らを匿って一緒に戦うAI+アジアの民の戦争のぐしゃぐしゃで、そのなかでAlphieが両手を合わせてお祈りすると兵器が無効化される能力が明らかにされたりするものの、最後にふたりは捕らえられて米軍の施設に送られて…

”Rogue One”でもそうだったけど、森や林の奥からなんかが出てくるぞ、っていうようなシーンはぞわぞわしておもしろいのだが、それ以外の戦闘描写になるとなんかテンションがもたなくて間延びしてしまうかんじになるのはなんでだろうか?

人物造形があまりに並みでふつうで、悪賢いアメリカ軍、アジア系のピュアな美女、AIまで温かくて優しそうなアジアの人たち、彼らを搾取して支配下に置こうとするアメリカ、軍を蹴っ飛ばして逃げる黒人不良兵 - ってベトナム戦争の頃からずっとあったような構図だなー、とか。この「戦争」にイスラム圏の各国はどう絡んだのか – ぜったい絡んだはずなのに周到に外しているよね、とか。

その辺はきりないので別によいのだが、やはりなんといってもAlphieにもっとどかどか派手に破壊してほしかった、ということに尽きる。(英国に貼ってあったポスターのコピーは、”Created to save us”の”save”に太い赤の取消線が引かれてやはり真っ赤の手書きの”DESTROY”が殴り書きされてて素敵だった) Groguみたいに狙わなくていいから、機械としてクールにぶちかまして破壊しつくしてくれたら、どんなに気持ちよかったことだろう。

これと同じように、Ken Watanabeには”The Last Samurai” (2003)をもう一回やってほしかったのにー。
ロボットだから死なないのね…

あと、AIによる核爆発はコーディングミスだった.. ってまじ? 2050年になってもまだ誰かがコード書いてるってこと?  ← ここが一番お先真っ暗だったかも。

あと、最後はあまりに“Oblivion” (2013) + “Rogue One”すぎて、ここもなんかの症例じゃないか、とか。こんなふうに新しいなんかはまーったくないのだが、でもそれでもどんなにがんばっても大作感のでないジャンクっぽいとことか、好きかも。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。