7.26.2020

[film] Kemp. My best dance is yet to come (2019)

19日の日曜日の午後、Lincoln CenterのVirtual Cinemaで見ました。
ここで毎年開催されているDance on Camera Festivalが今年はオンライン開催になったので遠くからでも見ることができる。

今の時期、Royal Opera Houseでもどこでも過去のアーカイブ映像を見ることができるようにしてくれていて、見たいな見なきゃな、って思うもののそっちに行かないのは、バレエはライブだ、って思っているからだねえ。音楽のライブ映像もそこらじゅうに多すぎてもう..

North Americanプレミアで、終わりにはSky Artsとあったので欧州ではTVで上映されたドキュメンタリーなのかしら。64分。

Lindsay Kemp (1938-2018)が80歳でこの世を去って、まだこの20世紀後半を生きたダンス〜パフォーマンスの巨人のきちんとした総括とか追悼とかってできていない気がする。
冒頭、“Almost nobody dances sober, unless they happen to be insane”というH.P. Lovecraftの引用がでる。

基本は彼の生前のいろんな時期のインタビューが中心なのだが、最初の方の晩年(と思われる)のインタビューの中で、インタビューをしながらドラキュラが棺桶から立ち上がり、窓から外をみて、音楽が止まり、彼女をかき抱いてダンスするまでの流れを大きな動きをせずに顔の動きだけで演じてみせて、それがそのまま”Nosferatu” (1922)に繋がってしまうところがとんでもなくて、やられた。

漁師だった父は海で亡くなり、男の親族もほぼ同じで、パーティガールだった母の周りにいた水夫達に囲まれて育った、という生い立ちから、彼にとってのダンス、体の動き、メイクアップ、ドラッグ、バーレスク、客を歓ばせること、教えることについて、代表的な演目である*Salome*やGenetの”Flowers”について語り、David BowieやMarcel Marceauとの交流について語る。 とにかく時間が短すぎるわ。

映画の影響は、やはり”The Red Shoes” (1948)が決定的だった、って。
死について、リタイアはもちろん、死ぬつもりは全くない、やりたいことがありすぎる、って。

どうでもいいけど、インタビューをしている彼の部屋?ホテル?の部屋のインテリアとか布とかの色とか形とかぜんぶすばらしいの。 あれだけでもずっと見ていたくなった。そんなわけないけど。


Land of the Sweets: The Burlesque Nutcracker (2019)

これも19日の日曜日の午後、これもDance on Camera Festivalで、↑のKempのドキュメンタリーの前に見ました。

38分という短い作品だからか、”Being”という10分くらいの短編が前座でかかった。都市に暮らすやや疲れているひとりの女性が仕事帰りに稽古場に行って、20組くらいでタンゴのレッスンをする、その時間だけが生きているみたいに時間が止まる - それだけなのだが、全員の動きが見事に揃ってかっこよくて、やってみたいなー(望むのは自由だ)って。

“Land of the Sweets..”は、ワールドプレミア(映画が)。 みんなが知っている年の瀬の定番バレエ - チャイコフスキーの”Nutcracker” -「くるみ割り人形」をシアトルのグループがバーレスク風にアレンジし直して芝居小屋で上演を始めて14年になる。 その狙いとか苦労とかを創始者のふたりが振り返りつつ語っていく。

“Nutcracker”の変奏ものというと、Mark Morrisがコミックの要素を取り入れてパンクにぶちかました”The Hard Nut” (1991~)がまず思い浮かんで、随分昔に見たけどとても楽しかった、ツッコミがい、おちょくりがいのある演目なんだろうな。

シアトルのは、最初からバラエティショーのようなバーレスク形式を目指してオーディション(はクラシック・バレエ経験者を中心に)をして、衣装・セットを作っていった、と。
クラシック・バレエだと、全員の動きを細部まできちんと揃えることが前提になるが、これがバーレスクになると、まず「こんなにすごいあたしを見て!」って客を湧かせることが先に来るとか、ダンスの動き以前にそもそもの前提が違っていたりするので、そこをどう調整したり妥結したりするか、という難しさがあった、と。 ほぼ別のジャンル、ってことよね。 でも、”Nutcracker”のテーマそのものがバーレスクのそれ - 闇の祝祭とか - と親和性があったというのもおそらく。

リハーサル風景から本番の映像までいろいろ見れるけど、やっぱりこういうのって通しで見ないとー。みんなで楽しむものだから尚更よね当然よね、だった。  シアトル、行きたいな。


いきなりスペインから英国に帰ってきたり入ってきたりした旅客が14日間隔離だって。帰ってきてすぐ言われたらびっくりよね。 でもみんな生き物だからそういうもんよね(もう諦めてお手あげ)。 英国もまたそろそろ…

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