7.20.2020

[film] 36 Chowringhee Lane (1981)

11日、土曜日の昼、そこらのYouTubeで見ました。

金曜日晩にやっている映画監督Carol Morleyさんによる#FridayFilmClubで取りあげられた映画で、でも晩の8時には見れなくて翌日に。 翌日でも見れてよかった。

Aparna Senの映画監督デビューとなるインド映画で、でも言語は吹き替えではない英語で、たまにベンガル語がまじる。画質もややぼやっとしているのだが、それもまたよいかんじ。

冒頭はお墓参りをしているViolet (Jennifer Kendal)が墓地から戻るところで、アングロ=インディアンで初老の彼女は女学校でシェイクスピアを教えているのだが学生はまったく興味もってくれなくて、ひとりでアパート - この住所が”36 Chowringhee Lane” - に戻ると昇降機は壊れていたりして、手紙を拾って中に入ると黒猫のSir Toby -『十二夜』の - がいて、連絡が取れるのはたまに手紙をくれる結婚して遠くに行ってしまった姪のRosemaryくらいで、それでもそんなに寂しくないし辛くもないし。

クリスマスの日にかつての教え子のNandita (Debashree Roy)とそのBFのSamaresh (Dhritiman Chatterjee)と出会って家に呼んでお茶をして蓄音機でレコードをかけて踊ったりの楽しい時間を過ごす。実はふたりは昼間に会ったり書きものをしたりする場所を探していて、喫茶店だとお金取られるし、彼女のとこがちょうどいいかも、って狙っていて、でもそんなの知らずに人のよいVioletは彼女たちをいつでもここに来てくれていいのよ、って招き入れて、ふたりは昼間にやってきてはやらしいことしたり書きものしたり好き放題する。

やがてふたりは結婚することになって、Violetはお祝いに思い出の蓄音機をあげちゃったりするのだが、しばらくして結婚後の新居を訪ねてみるとすごく立派なお家に暮らしてふたりとも忙しそうで、前に約束したけど今年のクリスマスはうちに来てくれないかしら? って控えめに聞いてみるとちょっと用事がいろいろ、というのでわかった、って。 でも一応ケーキだけ作ってサプライズで持っていってみると..

Violetのかつての恋人のことはお墓まいりのところとかで少し触れられる程度で、それは過去のことだけど、いまの学校では新しい校長の仕切りで、彼女はシェイクスピア担当から文法担当に替えられたり、養老院にいる唯一の肉親の兄がひとり寂しく亡くなったり、つらいことが続いて、そんな中、若者ふたりとの交流は唯一の楽しみだったのにひどいやつらのせいで..

ラストは作ったケーキを抱えてしょんぼり歩いていく彼女のそばに野良犬がきて、一緒に歩きながらリア王の一節 - “Pray do not mock / I am a very foolish fond old man" - とかを暗唱するの。こんなクリスマス映画があったっていいんだ。

Violetの機微を繊細に演じてすばらしいJennifer KendalさんはBBCの『十二夜』(1980)でViolaを演じたFelicity Kendalさんの実姉で、彼女たちの両親はインドでシェイクスピア・カンパニーを立ち上げてツアーをしていた、その時の話が”Shakespeare-Wallah” (1965)にあるとか。そういうのも#FridayFilmClubは教えてくれる。

彼女の部屋の光とかお墓の冷たい光とかをうまく使う画面構成が素敵で、毛糸まみれになったりのSir Tobyがたまらない猫映画でもあるの。


ところで、どうして週末ってふつかしかないのだろう。

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