12.24.2017

[film] Meet Me in St. Louis (1944)

今年の会社はおわった。もうなーんも振り返りたくないし思いだしたくないし仕事さん当分のあいだ戻ってこないで。

20日、水曜日の晩、BFIで見ました。『若草の頃』。

この時期になるとどこのシアターでも昔のクリスマス映画の定番を流すようになっていて、NYもその傾向はあるけど、Londonはもっと頑固に強引に押しだしてきて、”It's a Wonderful Life” (1946)とか、”Miracle on 34th Street” (1947)とかこれとか、”Home Alone” (1990)とか、”The Muppet Christmas Carol” (1992)とか、”Elf” (2003) とか、”Love Actually” (2003)とか、”Die Hard” (1988) ? とかがふつうにがんがんかかって、売り切れたりしてるのもある。
でも基本はみんなでわいわい騒いで楽しむ系のばかりで、たとえば”Carol”みたいのはないのな。

クラシックの定番の最初の3本でいうと、わたしは断然この”Meet Me in St. Louis”が大好きで、もう何回でも見るし見てるし。 最初に見た35mmの美しさに驚嘆して、今回の上映はDigitalだったけど(Metrographの上映は35mmだって。ちっ)、でもいいの。とにかくこれはぜったいによいの。

1903年の夏から翌1904年の春 - St.Louisでの世界博覧会までを季節ごとに区切って、一軒家に暮らすパパ、ママ、4人姉妹のいろんな - 隣家の男の子とのあれこれとか、パパのNY転勤話とか、四季の、どこにでもありそうな日々のどたばたを絵葉書 - Norman Rockwell - みたいに切り取って、楽しいみんなの歌で彩って、この場所に暮らすわたしたち家族、いいでしょうー、ていう。娘たちは成長してやがて家族は変わっていくし転勤も引越しもある、町も変わっていくのだろうけど、いまはこんなにも輝いていてすばらしいんだよ、って。 こういうのをクラシック、ていうのだと思うが、とにかくどこを切っても素敵でどこからでもあの世界に入っていくことができる。

変に固まっちゃった髪型でなかなか落ち着かない次女のEster (Judy Garland)が中心なのかもしれないが、この映画を無敵のクラシックに押しあげているのは、四女のTootie (Margaret O'Brien)のハロウィンの突撃とクリスマスの大虐殺で、一家の引っ越しの直前にEsterが猿のオルゴールを手に静かに歌う”Have Yourself a Merry Little Christmas”にべそべそひくひくした後でとつぜん庭に飛びだしびーびー泣きながら雪だるまさんたちをひとりひとりなぶり殺しにしていくTootieの挙動はわかるようでわかんないようで - 俺らがいなくなる家に残しておくのはかわいそうだから、なのか、いなくなった後にSt.Louisを勝手に楽しむんじゃねえよ、なのか、なんにしてもとてつもなく胸に刺さって、それ見たからって転勤をやめてしまうパパもたいしたやろうだと思うが、とにかくTootieが最強であることに異議はない。そしてなんであそこでいつも泣けてしまうのかもわからない。

このガキ娘最強伝説を現代に甦らせたのが”The Florida Project” (2017)のMoonee - Brooklynn Princeさんで、あの作品はすれっからしの今の時代の”Meet Me in Florida”なのだと思った。

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