12.21.2017

[film] Bombshell: The Hedy Lamarr Story (2017)

17日の日曜日の午前、IFC Centerで見ました。
夕方には空港に行かなくてはならない(やっぱ短すぎだわ)のでパッキングとかもあるし最後の買い物もあるので映画を見るなら早い時間のほうがよくて、Metrographでの11:30からの”Meet Me in St.Louis” - 35mm - にするかこっちにするか、だったのだがより近くて時間も早いほうにした。

Hedy Lamarr (1914-2000), 30-40年代のハリウッドで活躍し、一時は“the most beautiful woman in the world.”と呼ばれたスターで、女優としては”Samson and Delilah” (1949)のDelilah役、くらいしか知らなかったのだが、実はこんなことをしでかした人でした、と。

Hedwig Eva Maria Kieslerは、ウィーンのユダヤ人の銀行家の娘として生まれ、5歳の頃からオルゴールを解体して戻して、のような機械いじりが好きだった少女は30年代に女優になり、Louis B. Mayer - ライオンのMGM - Metro-Goldwyn-MayerのMayer – たぶんこの時代のHarvey Weinstein - の目にとまってハリウッドに渡るとHedy Lamarrていう大スターが誕生する。
(このへん、映画側のコメンテーターとしてはMel BrooksとPeter Bogdanovichが出てくる)

女優としての彼女のキャリアは当時のハリウッドに典型的なそれ – あがってさがってくっついて離れての繰り返し - のようだったのだが、もともと発明大好きだからってHoward Hughesとデートをした際、彼の飛行機のデザインの相談に乗ってあげたりして、Howard Hughesはおもしろがってトレイラーに彼女用のラボを作ってあげて、彼女は撮影の合間に実験とかいろいろやったりしていた、と。

第二次大戦に入って、なんか戦争に貢献したいわと思った彼女は同じユダヤ系で作曲家のGeorge Antheil - “Ballet Mécanique” (1924) の人ね – と組んで、当時敵軍に妨害されまくっていた機雷信号の帯域を頻繁にランダムに遷移させることで妨害フリーにする強固な無線機器を開発して特許を取り、Navyに売り込みにいくのだが軍側は却下して(でも特許が切れた後になってちゃっかり盗用)、この話はそのまま歴史の隅に埋もれてしまう。 でもこの技術ときたら今や誰もが知っていてこれなしでは生きていけないWifi - Bluetoothの原型で、彼女たちがあのまま特許を維持していたらその資産価値は数Billion – いやもっといくでしょ – だったという。

いかにも(怒)だったのは、なんか貢献したい、と彼女が技術を売りに行ったらあなただったらこちらの方へどうぞ、と戦争債の売り込みとか前線基地への慰問とか、そっちの方にまわされた、って。

これが明るみになったのは1990年に雑誌Forbes が掲載した記事が元で、この映画のほとんどはその際に行われた彼女とのインタビューのカセットテープが元だったりするのだが、テープの向こう側で「そうなのよーあたしがやったのよ!」て明るく応える彼女の声が素敵だった。

私生活では結婚 - 離婚を繰り返し(結局結婚6回..)、晩年は万引きでしょっぴかれたり整形が崩れちゃったりいろいろあったようだが、それがどうしただし、かっこよいし、これもまた”Hidden Figures”だよねえ、てしみじみする。 これ、どっかの研究施設のおやじが開発したやつだったらもっときらきらに讃えられて表彰されまくっていただろうに、悔しいよねえ。

ドキュメンタリーとしてはへえ〜、で終わってしまうような薄いものなのだが、史実としておもしろいし「理系女子」が大好きらしい日本でも公開されてほしい。
ちなみに原題は”Bombshell”だからね。わかってるよね?

「ハリウッド」でドラマ化されてもよいと思う。
もんだいは主人公を誰がやるのか、やれるのか、よね。

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