12.04.2017

[film] Film Stars Don't Die in Liverpool (2017)

11月19日、土曜日の午後、PiccadillyのPicturehouse Centralで見ました。

81年に亡くなった伝説の(と言っていいよね)ハリウッド女優Gloria Grahameの晩年の恋人だったPeter Turnerが87年に発表した手記を映画化したもので、Gloria GrahameをAnnette Beningが、Peter TurnerをJamie Bellが演じている。

こないだのLFFで、この映画に関連したAnnette Beningのトークがあったのだが、やっぱ行けばよかったなあ、としみじみ後悔している。

81年、劇場(見えたのは『ガラスの動物園』の台本?)のドレッシングルームでGloria (Annette Bening)が倒れたと聞いたPeter (Jamie Bell)はLiverpoolの実家に彼女を引き取って看病をしつつ、彼女との出会いの頃からの日々を振り返っていく。

70年代の末、ロンドンで俳優の修行をしていたPeterは同じフラットで復帰の機会を狙ってがんばっていたGloria Grahameと出会って、ふたりはあーらびっくり恋におちて、途端にいろんなことがいっぱい降ってくる。 どちらかというと田舎のイギリス人とハリウッド慣れしたアメリカ人、29歳という歳の差、これから昇ろうとしているキャリアと一度は頂点(オスカー獲ってるし)まで行ってしまっているキャリアと、結婚したことないのと離婚歴4回と、溝とか壁とか呼ぶのも面倒になるくらいいろんな違いがいっぱい現れて、でもこれはGloriaがえらい、というか天真爛漫のアメリカ(西のほう)人のすごさだと思うのだが、とにかくPeterをLAやNYに引っ張って連れ回して、Peterはびっくりしたりあきれたりしつつも、後半にいくにつれて今度は病気で弱くなっていく彼女を支えて引っ張っていくの。

難病モノのせつなさとかバックステージものの感動もあるのだが、これはやはりふたりの男女がふたりにとって思いがけないようなすばらしい出会いと旅をするラブストーリーで、そしてそれ以上にAnnette BeningとJamie Bellのふたりの俳優の映画でもあるねえ、と思った (ふたりだけじゃなくて、Peterの母を演じるJulie Walters も、Gloriaの母を演じるVanessa Redgraveもすごいの、あたりまえのように。)

最後はもちろん辛いのだが、でもAnnette Beningのすごいのは思いっきり見栄はって背伸びして、べったべたに泣かさないところではないか。Gloria Grahameが実際にそんなふうだったのか、その辺をどれくらいリサーチしたのかわかんないけど、とにかく背筋がのびるかっこよさ、ていうのはこういうのだねえ、と思って、この感覚は"20th Century Women"にも確かにあるよね。
彼女がちょっと上を向いて、頬の奥のほうをかちっ、て乾いた音で鳴らすのが素敵で、一生懸命練習しているのだが、できねえわ。

エンドロールでElvis Costello先生の新曲"You Shouldn’t Look at Me That Way"が流れて、これもすごくよいの。"She"よかぜんぜんよいから。

なんとなく、成瀬巳喜男の役者ものを思い浮かべた。 あそこまで痺れないけど、ほんの少しだけあるかも。

本作の上映を記念して、10月〜12月のBFIではGloria Grahameの特集 - "Good at Being Bad -The films of Gloria Grahame" - をやっていて、このうち"The Big Heat" (1953)と"It's a Wonderful Life" (1946)はふつうの映画館でもリバイバル上映されている。後者のはクリスマスの恒例でもあるけど。

http://www.bfi.org.uk/news-opinion/news-bfi/lists/gloria-grahame-10-essential-films

いまのとこ、この中から ”In a Lonely Place" (1953)と"Human Desire" (1954)を見てきたのだが、映画自身のすばらしさもあるにせよ、François Truffautが彼女を評して書いた"It seems that of all the American film stars, Gloria Grahame is the only one who is also a person."ていうのがとてもしっくりくるなあ、って。 女性の弱さ - ただし男性監督が演出した女性の弱さ - を限りなく肌に近いところで無防備に見せることができるひとだったような。

それにしても彼女、2回目の結婚相手がNicholas Rayで、4回目の結婚相手はNicholas Rayの最初の結婚のときの子、つまり一時は義理の息子だった人とだって、なんかすごいねえ。

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