12.11.2017

[film] In a Lonely Place (1950)

日曜日は雪で、今日も昼間雪まじりの雨で、朝は7:30でもまっくら。 ロンドンがこんな寒いなんてだれも言ってくれなかった。

11月25日、土曜日の午後、BFIのGloria Grahame特集で見ました。「孤独な場所で」。

これを最初に見たのは確か三百人劇場で、その後、NYでも何回か見た。
でも"Film Stars don't die in Liverpool"でGloria Grahameがあんなひとだったことが見えてわかってしまうとどんなふうに見えてくるのか? いや、評伝映画を見たからといって、そのひとがわかってしまうものではないし、それはそれで危険かも知れないけど、でも。

ハリウッドのスクリーンライターのDixon "Dix" Steele (Humphrey Bogart)がいて、もう落ち目で、ある晩、いつものようにバーでぐだぐだやってからバーのクロークの女性をおうちに連れて帰ったけど疲れたのでひとりで帰らせて、そしたら彼女はその晩に殺されてしまう。彼にも容疑がかかるが、アパートの向いの部屋の女優Laurel(Gloria Grahame)が庇ってくれて、それをきっかけにふたりは仲良くなるのだが、一緒にいるうちに彼の暗いところか癇癪もちなとこがだんだん見えてきて、彼は真剣に結婚しようって言ってくるのだが、あまりに怖いので嫌になってきて、逃げることを考え始めて、やがて。

後半はサイコパスみたいなDixがLauraを追い詰めていくサスペンスに見えなくてもなくて、早く逃げろ、てはらはらしっぱなしで、Laura - Gloriaは本当に恐怖で震えて、逃げようにも逃げられないふうに縛られているようで、でも彼を愛したことは確かだったので、などなど。

Dixが呟く有名な台詞 - "I was born when she kissed me. I died when she left me. I lived a few weeks while she loved me."も彼の実像があんなだとわかってしまうと、ものすごくおっかない別の意味を帯びてきて、Lauraが最後にこれに対して返す"I lived a few weeks while you loved me."は、「あなたが愛してくれた数週間は生きてた」という過去形が、彼が背中を向けて行ってしまった現在にどんな意味を持ってくるのか、よくわからないままで終わる。 愛を喪失しても生きているという状態がどんなものなのかわからない、けど生きているのだからなんかあるのかしら? のような黒でも白でもない灰色の中間状態を"In a Lonely Place"といって、それってあるよねえ、とか思うのだった。

わたしにとってのHumphrey Bogart像というのはこの映画のDixのキャラクターを主成分として作られているので、Humphrey Bogartをかっこいい、とかいう男をみるとあーこいつはやばいわ、て思うようになっている。
あと、Dixの詩にあるような男のロマンチシズムってJim MorrisonからNick Caveに至るまで、なんかえんえんあるよね。 ぜったい死なないくせにさ。

同じ日の午後、"In a Lonly Place"に続けて、これを見ました。

Double Indemnity (1944)

BFIでは10月から12月まで、”Who Can You Trust?”ていう古今のスリラー映画の特集をやっていて、その前のStephen King特集とあわせて、あんたらどんだけ人を怖がらせたいのか、て下を向いてしまうのだが、ちゃんとした予告編とパンフまで作っていろんなのやっているので、がんばって見れるのは見ていこう。

http://www.bfi.org.uk/thriller

この特集ではフィルム・ノワールの古典もいくつかかかって、これらは好きなので見るのだが、フィルム・ノワールって結構見ているはずでもすぐに忘れてしまうのが多くて、映画が始まってから、ああこれはあれだった、とか、そういう掘り起こしを楽しむ、ていうのもあるの。

監督がBilly Wilder、脚本がBilly Wilder & Raymond Chandlerのこれも、冒頭のオフィスので、あああれだわ、て思った。 邦題は「深夜の告白」っていうの。

深夜のオフィスに怪我をしてよろよろと現れた保険屋の営業のWalter Neff (Fred MacMurray)が録音機に向かってなんか告白を始める。

ある日、保険の契約更新で訪れた家で、そこのしなしなした人妻Phyllis (Barbara Stanwyck)に引っ掛かって、誘われるまま言われるままに骨を抜かれて、彼女の旦那を殺して保険金をぶんどる完全犯罪を企むことになって実行して、一度はなんかうまくいったように見えたのだが、Neffの上司のBarton Keyes (Edward G. Robinson)のなかに住むLittle manが立ちあがってしまって、さあどうなっちゃうのか。

ノワールの分類でいうとFemme fataleもの、になっていて、実際Barbara Stanwyckの艶分ときたらすごーい、としか言いようがないのだが、それだけではない犯罪に足をつっこんで泥沼にはまっていく過程とか土壇場でのついてなさとかがとっても生々しくスリリングなので、見ているひとはみんな唸りまくっていて、最後はもう拍手するしかないふうになる。

でもあんなふうに夜明けのオフィスで汗まみれ血まみれのまま死んじゃうのはやだなあ。

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