10.04.2017

[film] It (2017)

30日、土曜日の午後、Licester Squareのシネコンでみました。

いまのとこ最新のStephen Kingもの(あ、"Dark Tower"見ないうちに終わっちゃった..)、大ベストセラーだし(でも読んでない)、しばらくチャートの1位にいてヒットしてるし、当然見なきゃ、だったのだが、なかなか足が向かなかったの。
売れてるものにはあんま興味ない、ていういつものもあるのだが、売れているっていうことは子供も大人も幅広く見られているってことで、じゃあそんな怖くないのか? っていうのが気になって、怖いのは嫌がるのに怖くなさそうだとためらう、ただの子供か。

結論からいうと確かにそんなに怖くはなくて、とてもよいドラマだった。ぜんぜん暗くないし。
"Stand By Me"(1986) (← 見てない←殴) もこんなかんじなの?

88年の10月、大雨の日にBill (Jaeden Lieberher)は弟のGeorgieに紙のボートを作ってあげて、Georgieはそれを持ってひとり表に出ていって、道脇の溝にできた雨水の流れにボートを走らせていると、それは大きな側溝に吸い込まれてしまって、Georgieが奥を覗いてみるとピエロが現れる (ここは予告にあったよね)。

89年の夏、夏休みを前にBillはまだGeorgieが生きていることを信じて行方を探していて、いつも遊んでいる仲間3人がいて、町の歴史を調べている太っちょのBenがいて、ちょっと変わった女の子のBeverly (Sophia Lillis)がいて、屠殺場で下働きしているMikeがいて、これらLoserである7人の子供たちと、その反対側に年長で凶暴な虐めっこのグループがいて、彼らの友人や家族との間で揺れたりなびいたりしているいろんな思いと、その先々にちらちら現れてくる”It” - ピエロ - Pennywise (Bill Skarsgård)の痕跡と恐怖と、その源流・交接点に位置している廃屋(見るからに)を彼らは見つけだして、それぞれが悩んだ末にみんなで対決することを選ぶ。

表には子供たちひとりひとりのひと夏の出会いとか成長とか葛藤があり、その底には血塗られた歴史とともに形作られたDerryの町の恐怖の水脈があり、子供たちは大人の世界の暴力に晒されながら、なにかに気づいて、それを克服しようと決意する。
まずあたりまえの話しとして、子供たちをきちんと描けていないとだめなのだが、この映画の子たちはみんなよくて、特にBillとBeverlyのふたりはすごく素敵で、うまい。 Beverlyが父親に虐められた後、泣きながら髪を切っていくシーン、父親と対決するシーン、どれも鳥肌もんのすばらしさ。 
(ここに出てくる子供たちのスピンオフで"The Breakfast Club"(1985) をリメイクしてもいいと思う)

ピエロはあんなもんかしら。 もっともっと怖くできたはず。 喋りすぎじゃないか(特にGeorgieとのシーン)、とか、口が裏返って広がるって月並み、とかいろいろあるけど、今後はもうちょっとがんばって震えあがらせてほしい。
恐怖を餌に成長する魔物と子供たちの対決、というとHarry Potterかもしれなくて、舞台をアメリカの空洞化してしまった田舎に置いて、魔法はなしにして、血がどばどば飛ぶようにするとこれになる、というのはあるかも。 家族の喪失が起点になっているところとかも。

音楽は80年代の終わりなのでThe CultとかAnvilとかそれなりに流れてくるが、The Cureの"Six Different Ways"があって、XTCの"Dear God"がある、これだけで、これとあとBeverlyの顔だけで、とにかくなんでも許すわ、になった。 
あと、オリジナルスコアのBenjamin Wallfischさんのも、よいの。

音はでっかければでっかいほどよいのは当然。

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