10.04.2017

[film] The Mist (2007)

9月21日、木曜日の晩、BFIのStephen King特集(もうぜーんぜん見れないままで終わりそう)でみました。 1980年の原作小説は未読。
監督の"preferred version"であるB&W版での上映のみ。見るのは初めてなのでカラーとの比較についてはなんも言えないけど、モノクロでぜんぜんよかった。 カラーなんて想像したくないくらいに。

映画ポスターとかの画家をしているDavid (Thomas Jane)がいて、夜中のものすごい嵐で樹が倒れたり飛んできたりで家の一部が壊れてしまったので、息子と隣人と一緒に町のスーパーに買い出しに出かける。家を出るときに重そうな霧が向こうからやってくるのが見えて、すれ違いで軍の車とかが大勢走っていくのでなんだろうと思ったが、とりあえず買い物をして、気がつけば外は霧に覆われていて、血だらけになった男が霧のなかになんかいる! 外には出るな! と駆けこんでくる。

あとはスーパーに閉じ込められた人々のドラマで、こんなのだいじょうぶだろ、と言って外に出たり覗いてみたりした奴はみんなやられて悲惨なことになって(定石)、その極限状態の上でバランス取って落ち着かせようと奮闘するDavidとかAmandaとか一部の店員と、これはやっぱし神のなんとかだ、生贄が必要じゃ、とカルトなほうに人々を扇動しようとするおばさん(Marcia Gay Harden)とかいろいろ出てきて、そんなのお構いなしに霧の向こうのなんかが襲ってくるのは時間の問題になってきて、要するに、どこかのタイミングでは外に出ていかないとどっちみちやられて死んじゃうだろうが、となる。

霧とかその向こうにいる連中がなんなのかは、軍が出たりしていることから自然現象ではないことがわかって、ただ、その物理的にでっかくてヒトに危害を加えてくるそいつらが自身の自然のもとで動いていて意思の疎通ができる連中ではないこともわかっていて、つまり理不尽な状態で突然ジャングルに裸で放り出されたようなものだと思うのだが、でもヒトは可能な限り理知的にいちばん悲惨なことを回避するにはどうすべきかを考えて、それを実行する(やられてしまうまえに)。

原作とは違うらしい映画の結末については、悲惨、とか救いがない、とどんより言ってしまうのは簡単なのだが、ここでの「救い」って誰にとっての、どういうものなのだろうかとか、あと少し待ってれば、とかそういう言いようも誰のどんな目線とか視点が言っていることなのか、とか、いろいろ考えさせられるので、そこはよかったのではないか。 そこに「教訓」という言葉をあてるのは少し違っていて、例えば大きい動物が小さい動物を食べたり、宇宙から来たなんかが地球人を食べたり、未知の病原菌が人類を絶滅させたり、そういうのに近いなにかとして見たほうがよくて、その横に我々のよく知るエモーショナルななんかを持ちこんでみたら、全体像はどんなふうに見える/見えてくるのか、そういう試みなのだとおもった。

で、もうすでにそういう取り返しのつかないでっかい流れは既にできていて、Marcia Gay Hardenは既にそこらじゅうにうじゃうじゃいて、あまり目に見えないから気づいていない、それだけなんだと思うよ。 と、白黒の世界を前に更に絶望してみるのもよいのではないかしら、ておもった。


関係ないけど、今日のBBC TwoのJools Holland、Morrisseyやって、Joshua Homme & Dean Fertitaやって、The Nationalやった。
さいこーだった。

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