6.03.2016

[film] 蜂の巣の子供たち (1948)

5月4日、『女醫の記録』に続けて見ました。英語題は”Children of the Beehive”。

タイトルが出る前に「この映画の子供たちにお心辺りの方はありませんか」て出る。
この映画の子供たちは、ほんとうにそういう子供たちなの。子役とかじゃないの。

敗戦直後の下関駅に復員兵(ルースターズの花田くん - 若い頃の - に少し似てる)が降りたって途方に暮れていて、そのまわりに浮浪児が8人ばらばらといて、その子らを鵜飼いの鵜にしてピンハネしている片足のちんぴらがいて、家族を失って行き場のない女がいて、出てくるのはこれくらい、全員することも行くとこもなく佇んでいて、復員兵はとりあえずどっかに向かうことにする。 その途中でおなじようにどっかに行くことにした子供たちと合流したり離れたりしているうちに一緒に働くことの楽しさを知ったのか、なんだか家族のようになっていくの。
いろんなエピソードが描かれるのだが、基本は道の向こうとこっちで「おおーい」とか手を振ってくっついたり「じゃあなー」て別れたり、一緒にものを運んだり運ばれたり。

家族でもなんでもない居合わせたばらばらの人々が別の場所にひたすら移動していくだけの映画をロードムーヴィーと呼ぶのか、俳優でないただの素人に台詞を言わせて演技させるのをネオレアリズモと呼ぶのか、そんなのまったくどうでもよいくらい、この映画に出てくる人たち、子供たちはあの場所にいて生きて動いていて、それが記録されていて、それが記憶に刻まれて、それで十分なの。

病気になった子が山の上の景色を見たいよう、見たら治ると思うんだ、ていうので仲間がおんぶしてがんばっててっぺんまで運んだら死んじゃってた、て悲しすぎるけど、当時はそういうのいっぱいあったんだろうな。 彼が最後にみた景色がなんだったのか、もちろんわからない。

主題歌も耳に残ってすばらしい。
『蜂の巣蜂の子ぶんぶんぶん。 朝から晩まで花畑~ 花から花までお使ひだ~』 ていうの。
『とべない沈黙』 (1966)を少し思いだした。あれは蝶が旅をするお話しだったけど、これはぶんぶん固まって飛んでいく蜂の子たちのお話しで。
それにしても、冒頭の字幕をみて、子供たちのために作ったであろうこの歌をきくと、清水宏ってなんて偉いひとだったんだろう、て思う。


ああ、Dave Swarbrick先生が …  ご冥福をお祈りします。 ありがとうございました。 

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