6.30.2016

[film] Ma nuit chez Maud (1969)

5月28日、土曜日の昼、有楽町のロメール特集でみました。

『モード家の一夜』。 “My Night at Maud's”
なにが(だれにとっての)教訓やねん - なんで六つやねん、がいっつもついてまわる『六つの教訓話』のみっつめ。

教会のある山間のまちで、クリスマス前のミサが行われていて、そこに出ていたJean-Louis Trintignant(ぼく)は真面目で敬虔な技術者で独身で自分ではもてるほうと思っていて実際に過去に女性関係はいろいろあったらしく、南米とかカナダで仕事をした後でこの土地に落ち着いたところで、ある日街中で中学時代の同級生Vidalと久々に再会して、夜中、彼に誘われるままに彼の友達のMaud (Françoise Fabian) のアパートに行くことになる。 VidalとMaudは一回寝たことがあるらしいのだがJean-Louisとは合う気がするしとか言ってて、アパートについて暫くお話ししたらVidalはそそくさ帰っちゃってMaudとふたりだけになる。外は雪こんこんで今から車で帰るのは危険よ、と。

女医のMaudには一人娘がいて離婚したばかりで、無神論者で自由なかんじで、まじめなカトリックのJean-Louisにはあれこれ挑むように誘うように語りかけてきて、パスカルの確率論とかいろんなネタが繰りだされるのだが、基本はこのひと晩これから彼女とどうなっちゃうんだろうか、彼女と寝ることになるんだろうか、それってちょっと軽すぎやしないだろうか ...  などなどものすごくいっぱい彼の内なる声がわんわん鳴っていて、どんな会話もスリップしていく。 それでも彼女は堂々とそこにいて、こっちにこない? とか魅力的な身体と声で言ってる。

結局その晩はひとつ布団のなかでごろごろ悶々と過ごして気づいたら朝で、朝の彼女はなんかすてきだったので抱きしめようとしたら彼女はもう猫のようにつーんと拒否してきて、あーあ、て彼はそこを去り、やがて教会で見かけてずっと気になっていた自転車娘のFrançoise (Marie-Christine Barrault)を車でえんえん追っかけて告白して、やがてふたりは一緒になる。 よかったねえJean-Louis。

そこから(たしか)5年後、子供もできたJean-Louisは家族で浜辺にバカンスに来て、そこでMaudとすれ違って、そしたらFrançoiseはあらー、とか言って ... (暗転)
自分はとっても真面目に神様のお加護のもとよいこでやってきたんだから、だいじょうぶなんだから ...
なーむー。

モノクロの画面はNéstor Almendrosで雪の滲んだかんじがとってもすばらしい。
大昔に米国で見たきりだったが、画面がとっても綺麗になってて相変わらずスリル満点だった。

どのロメール映画でも言えることだが、なんかこの煮えきらない、到達できない、思い通りにいかない糞詰まり感、見た後で一緒にいた人たち同士の会話が険悪になっちゃうのが(この作品については特に)よおくわかる1本。

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