12.01.2015

[film] Un Château en Italie (2013)

13日、金曜日のごご、春画のあと、目白から飯田橋に移動してアンスティチュでみました。
「フレンチタッチ・コメディ!」の特集、もちろん全部見たいのだけど。

『イタリアのある城で』。 英語題は”A Castle in Italy”。

この日の2本目の上映で、チケット買うときに上映予定だったものが変わりましたと言われたのだが、ここのは何見たっておもしろいに決まっているのでそれでいいです、という。 チケットはなんでかタダのをくれた。 うれしかった。

季節は冬、40過ぎのLouise (Valeria Bruni Tedeschi)はイタリアへの里帰りのあと、ぐったり帰ろうとしていたところで、映画撮影中だった俳優のNathan (Louis Garrel)  - ちなみに劇中の映画監督は彼の父親という設定 - と森のなかで出会う。 彼は若い頃女優をしていたLouiseの作品のあるシーンを憶えていて、ちょっとだけあらまあ、とときめくのだが、あんたみたいな小僧に言われてもねえ、とその場は別れるの。

やがて二人はパリで再会して、少し戸惑いながらも仲良くなって、やがて同棲を始める。
Louiseには亡父がイタリアに遺した古いお城とかブリューゲルの絵(窓ケツ脱糞のあれ...) があって、兄は重い病気でふらふら(でも口は達者)で、母はこれからの生活のためにお城か絵を売ることを考え始めていて、LouiseはNathanとの子供がどうしても欲しくなって、兄の病状は回復しなくて、Nathanは売れないので役者をやめて、Louiseのex恋人がお金をせびりにやってきて、などなど、ゆったりとした季節の巡りと共に出口のあまり見えない彼らのじたばたが描かれる。

本当であれば、時代が時代であれば、イタリアにお城を持っている彼らの日々は貴族みたいにゆったり落ち着いたものであったに違いないのだが、現実には病気、年齢、経済、家族、などなどが問題として嫌味のように次々現れるのでエモはぼろぼろであっぷあっぷで、ドラマとかロマンスどころではなくて、みっともなく修道院の床にひれ伏すしかない。 いやいやだからこそ、と思い切って踏み出してみれば余計に泥沼、もう若くないし、でもなんか大人じゃないし、みたいな。

こういうのをフレンチタッチのコメディと呼んでよいのかどうか、チェーホフみたいだけど、でもこれはコメディで、コメディなんだから、と、そういう方向に断固ガイドしようとする主演兼監督のValeria Bruni Tedeschiさんはすばらしいし、共同脚本は『カミーユ、恋はふたたび』のNoémie Lvovskyさんで、このふたつ、このふたりを並べてみると、なんて力強くて素敵なことでしょう、と。 まじで。

あと、この並びにVincent Macaigneあたりが加わると膠着感に更に艶と磨きがかかって、どうしようもないぐだぐだになるんだけど、とか思った。

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