12.07.2015

[film] Ricki and the Flash (2015)

Sydneyに着いています。 けど明日にはもう帰るのでつまんない。 とにかくねむいし。

行きの飛行機で見た1本。  Jonathan Demmeの。 すごくよいのになんでこれ、公開しないの?

Ricki and the Flashていうのはバンド名で、Ricki (Meryl Streep)がVo.とg. 、The FlashはgがGreg (Rick Springfield) でKeyがBernie Worrellで、メンバーは地味にすごい人たちなのだが、SF郊外のパブのハウスバンドで、オリジナルよりは酔っ払い向けのカバー曲が中心で、冒頭からTom Pettyの”American Girl” (1977)をがんがんにとばしてかっこよいのだが、77年のこの曲を演奏するのはGirlでもなんでもないケバいおばさんというのがなかなかきつくて、彼女、昼間はTotal Foodsていう食料品スーパー(Whole Foodsへの強烈な嫌味)でバイトをしてて、要するにバンドは道楽なんかじゃなくて、自己破産とかもしているから楽じゃない。 

ある日、携帯に電話が掛かってきて、出てみるとインディアナポリスに住むEx夫のPete (Kevin Kline)で、娘のJulie (Mamie Gummer - Meryl Streepのほんとの娘)の夫が別の女に走って精神的にやばくなっているので助けに来てくれないか、という。 あんたの現妻に頼めばいいじゃん、ていうと、彼女は自分の父親の介護でシアトルに行っているので困っている、ていう。

しょうがないので荷物をまとめて行ってみるのだが、そもそもロックの道を選んで家族を放り捨てた - Julieの結婚式にも出なかったRickiに対して他の二人の息子も含めてみんな冷たくて、彼女もそんなことはわかっているけどうるせえ呼ばれたから来ただけだよ、て返すしかない。 失うもんないし、帰ろうにも交通費もないし。 少しだけ打ち解けてよいかんじになってきたと思ったら、Peteの現妻が戻ってきて、もうだいじょうぶだから、て帰されて、結局もとのバンド生活に戻るのだが、Rickiは自己嫌悪も含めてぼろぼろでGregともうまくいかなくなりそうで、そしたら、現妻からのごめんねの手紙と一緒に息子の結婚式の招待状が送られてくる。

でももうすっからかんだし服もないし、というところから先が泣けて、クライマックスは当然結婚式で、めちゃくちゃハイソなお式に呼ばれたRickiとGregは浮きまくるのだが、こうなったらウェディングバンドとして出てぶっとばすしかないでしょ。

家族からはみ出てしまった娘が姉の結婚式で…  というのが2008年の“Rachel Getting Married”でこれもすごくおもしろかったが、娘に加えて妻まではみ出してしまったこっちは更に修復不能でどうしようもないところまで転がっていく、家族ってそういうもんよね、ロックなんか聴きはじめたら崩壊するに決まってるのよね、とか思った。

Jonathan Demmeでライブシーンいっぱい、しかもこういうバンドのライブなんだから音楽映画として見たっていいの。 新郎のママが結婚式であんな曲ぶちかますなんてかっこよすぎる。
ロックがぶっこわしてしまった家族をロックがなんとか繋いでしまう、そこで見えてくるのは音楽の(あるいは家族の)崇高さとか素晴らしさとかではなくて、ほんと適当ないいかげんさ胡散くささ、なの。 そんなもんよ、と。

Meryl Streepさんは、元々歌は唄えるので問題ないし、バンドメンバーとして - そのおばさん的なぎこちなさいたたまれなさも体現していて見事、ではあるの。

それにしても、2015年にMeryl StreepとRick Springfieldが冴えないバンドの映画で共演することになるなんて、81年の自分に言ったらどんな顔をしただろうか。

そういえば、Rick SpringfieldさんはSydneyの出身なのだった。

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