12.27.2015

[film] Pierrot le Fou (1965)

19日の土曜日の午後、Film Forumで見ました。
「気狂いピエロ」 の50th Anniversary Restoration。 2008年にCriterionがBlu-ray化したときの版との違いがちょっとだけ気になるが、でっかい画面で見たほうがよいに決まっているの。

Film Forumでは2010年の5月に”À bout de souffle” -「勝手にしやがれ」- の50th Anniversary版を見ているので、これもなんとしても見ておきたくて。

予告編はここで見れます。
http://blogs.indiewire.com/theplaylist/exclusive-trailer-for-50th-anniversary-restoration-of-jean-luc-godards-pierrot-le-fou-20151127

この作品を最後に映画館で見たのは自由が丘だったか。今の子供たちには想像もつかないかもしれんが、昔は自由が丘にも名画座(名画座っていうのは古い映画をかける映画館ね)があったんだよ。

ストーリーはどうでもいいの。
不幸な結婚で半分しんでるFerdinand (Jean-Paul Belmondo)がいて、パーティでMarianne Renoir (Anna Karina)と出会って、なにもかもぶん投げて二人で地の果てまで逃げていくんだけどMarianneはギャングに追われてて、最後は地中海でダイナマイトでこっぱみじんになる。

画面の色調はどこまでもソリッドでカラフルでかっこよすぎて見とれるばかり、台詞は古今のいろんな引用に溢れまくっているので英語字幕なんていらない(参考書でもリンクでもいっぱいあるからあとで調べろ)。 ふたりの動き、そのスピード、カット割り、カラー、サウンド、誰かしらのかっこいい言葉と引用、これらがすべてで、あとは何もいらない。 なんも考えずに見てもそれらすべてがストレートに脳細胞の粒粒を直撃する。

唖然とするかっこよさ。 こんなふうに恋をして、こんなふうにぜんぶちゃらにして、あっという間に生きて、とっとと死にたい。消えたい。

TenderでCruel, RealでSurreal, ShockingでMocking。 ポップアートていうのは例えばこういうのをいう、ものすごい早口で、生きろ! 死ね! を繰り返して、その差異と反復をふたたび生きて、死ぬ。 意味なんかないんだから、あっという間なんだから、わかんなくてもよいの。 サブカルなんてくそくらえだわ。

色も音(MONOでリマスターしたという)もヴィヴィッドに生きて跳ねていて素晴らしい。これが50年前なんだよ。
(「勝手にしやがれ」のリストア版は全てがとても痛切で切実でぎりぎりなかんじで、これも素敵で)

2月(?)のサミュエル・フラー特集で上映してほしい。 (フラー自伝の販促としても最適だよ)

Film Forumではこれの後、25日からぴかぴかの35mmプリントで“Ball of Fire” (1941) - 「教授と美女」がかかっているの。 これも最高のラブコメなんだよう。 むかし1万円以上したVHSを買ったなー。

この日の夕方、食事の前に”Sisters”を見にいったらまさかのSold Outだったので、NYで見た映画はこれが最後となった(泣)。 晩にSNLでふたりの勇姿を見てがまんした。

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