9.27.2015

[log] LAそのた1 - August 2015

もう何カ月も彼方のとおいとおい昔のこととしか思えない夏休み - LAの残りのあれこれ。

行きの飛行機で見た映画から。

Woman in Gold (2015)


NYのNeue Galerieが出来たとき、その目玉として展示されたクリムトの"Adele Bloch-Bauer I” (1907) 、こんなところに何故こんなすごいのが突然に? と思ったものだったが、その真相がこうして明らかに。 ていう実話。

LA在住のMaria (Helen Mirren)が、亡くなった姉の遺品を整理しつつ家族の記憶を掘り返しているうちに、祖国オーストリアの美術館にある、叔母をモデルとした絵は自分の家族のものだから取り返したくなって、と知り合いの若い弁護士Randy (Ryan Reynolds)に相談してみる。一回独立したものの失敗して大法律事務所に入ったばかりの彼はあんま深く考えずに引き受けて、調査も兼ねて現地に行ったりしているうち、そんな簡単ではないこと - へたしたら国家間の諍いになってもおかしくないくらいの大ネタであることがわかって、Mariaは諦めて、会社からももういいかげんにしなさい、て言われるのだが、それでもネチネチ追い続けて、とにかく互いの「国」を土俵に引っ張り出すところまで行くの。
国が勝手に壊して引き裂いた家族の歴史と遺産を巡って再び国と国が争う、その愚かしさ見苦しさから離れて、やはり残るもの/残すべきものはあるのだし、それを引き寄せる力はとてつもなく強い - 国だって超えるのだと。

Helen Mirrenの素晴らしさは文句なしなのだが、Ryan Reynoldsがなあー、ふつうのアメリカンで、あのシェーンベルクの孫には見えないのよね、どうがんばっても。

名画の辿る運命っておもしろいねえ、で終わらせてはいけなくて、集団組織の暴力 - 戦争 -による芸術作品の破壊は今も続いているんだ、ということも忘れてはいけないんだからね。

Neue Galerieでは、この映画の公開を記念して”Gustav Klimt and Adele Bloch-Bauer: The Woman in Gold”ていう展示があったの(9/7まで)。 見たかったなー。


A Little Chaos (2014)

行きの飛行機の二本め。

ルーブル宮からヴェルサイユに本社を移転していた時代のフランス王室、ルイ十四世のお抱えカリスマ造園家ル・ノートル (Matthias Schoenaerts)のとこにアシスタントとして応募して、ねちねち貶されたのに何故か採用されてしまったサビーヌ (Kate Winslet)の造園奮闘記。彼女には暗い過去があって彼にも暗い影があって、でも互いの才能に惚れこんだ二人の火花が未来の庭園に向かってスパークしたとき、奇跡は起こるの。

連続テレビ小説みたいに山あり谷あり涙ありてんこ盛りでおもしろいのだが、出てくる人物のなかでサビーヌ = Kateがいちばんがっしり強そうで頼もしくて(外見ね、なんとなくの)、負けるながんばれ、みたいな感情移入がぜんぜんいらないふうなあたりがひとによって賛否分かれるかも。

監督のAlan Rickmanがルイ十四世で、彼がいちばんのびのび楽しそうだったので、それでよかったのかも。(なげやり)


Penguins of Madagascar (2014)

行きの便で半分、帰りの便で残り半分みた。
マダガスカルのシリーズを見ていないので、シリーズのなかでの位置付けとか差分がわかんないのだが、相手はペンギンだからね。立って変な動きしてるだけでもペンギン - ゆるすとか、なんかずるいよね。

ペンギン4匹組が世界制服を企む大タコのデイブ (John Malkovich)とその軍団、あと彼らを追う狼 (Benedict Cumberbatch)とアザラシとシロクマと白フクロウの組織 - The North Windと絡んで大騒ぎするの。デイブはセントラルパークの動物園でペンギンに人気を取られた(でもあそこにタコいないよ)のをずっと恨んでてかわいいやつを醜い化け物に変えちゃう光線(”Despicable Me 2”に出てきたセラムとおなじ、たぶん)を使おうとしてて、4匹のなかでいちばん若い新入りが人質になっちゃうの。

でも化け物になったとしても、なんだかんだ結局みんなかわいいから説得力ないことどうしようもない、てぶつぶついいながらでっかいタコに巻かれる。


本屋は泊まったところの近所のLast Bookstoreしか行かなかった、けどそれでじゅうぶん。お店のなかの仕切った区画にレア本を扱うAnnexが出来てて、おそるおそる入ったらそんなすごいレアでもなかったので安心した。 店内のデコールがややゴスしててとっても素敵。土地柄か(or 店のひとの趣味か)、犯罪ものとか狂った系のが多かったような。 一冊、いまは廃墟となっている各地の州立精神医療施設を撮った大判の写真集 "The Asylum" - 荘厳で美しすぎるのが恐ろしい - を買った。序文をOliver Sacksが書いているのだが、これを買った翌朝に彼の訃報が...

レコード屋もAmoeba Musicしか行っていない。これでじゅうぶんだよね、となんか後ろめたく思う反面、奥に掘り進めば進むほど一線を越えてしまうかもしれない恐怖がじわじわとやってくる。新しいものを探すというよりこの恐怖の外側でどうしようどうしようとおろおろしつつ三日間通ってしまったわけだが、結果は勇気をだせないまま、あんまし、で終ったのだった。
10000ドル手元にあっても、1時間で使ってやる自信あるね。

新譜だとBeach Houseの”Depression Cherry” (よいタイトル)が当然のように積んであったので買う(白色じゃなくて透明のだった)。
あと、Record Store Dayので、ずうっと探していた7inchの箱が中古で出ていたのだが、そのうち1枚だけ欠けているやつだったので、3日間悩んで結局諦めた - ついでに25日の晩に走りこんだときにもまだあって悩んだのだが、やっぱし諦めた。

9月1日、最後の日の午後にグリフィス天文台に行った。 “Love and Mercy”の映画のなかで、Brianが世界で一番寛げる場所、て言っていたので、それなら寛ぎたいかも、と。
Metroの駅からの無料シャトルが出ているのは週末だけ、平日の交通機関がなかったのでしかたなくTaxiを捕まえて上に行ったのだが、たしかに丘(あれは丘? でよいの?)の上に登ってみた眺めは昼間でもすごくよくて、360°拡がっていて素敵で、これなら夜景もすばらしいに決まってるよね - 20世紀FOXのってここの? - だった。

有料のプラネタリウムにも入ってみたのだが、ライブの語りのおじさんの声がプロみたいに気持ちよくて(いや、プロなんだよねあれ)、椅子がぐーんて倒れた瞬間に自分はどっかに飛ばされて気がついたら終っていたの。
他にはぜんぜん止まらない振り子(猫は何時間でも)とか、Tesla Coilのほんもんのデモ(火花ばちばち)とかも、おもしろかった。

帰りはTaxiなんていそうになかったので土埃を巻きあげながら歩いて山(あれ丘?)をくだって、ふもとでバスに乗ってご飯食べるところに行ったの。

ここらで一旦きります。

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