6.20.2014

[film] A Touch of Sin (2013)

15日日曜日の午前、ちょうどサッカーばかがひしめいていた渋谷でみました。
「罪の手ざわり」。中国語題は「天注定」。
129分。 米国でやっていたときは133分だったのだが、どこか削られているの?

4つの、人が死ぬ事件、その中心にいた4人の老若男女それぞれの事情。

炭坑で働く山西省の男(ダーハイ)は、村の所有だった炭坑を勝手に実業家(同級生)に売られて、私腹を肥やしている村長とかに頭きて、北京に手紙書いて訴えてやるていうのだが相手にされず、実業家に直訴したら側近にぶん殴られて、その様を見ていた村人からは「ゴルフさん」とか呼ばれ、猟銃に手を伸ばして街中を歩いていく。

重慶の三男坊の男(チョウ)は大晦日にどこかからふらりと帰ってきて妻と息子と少し寛ごうとしてでもあんまうまくできない。彼は実家に結構なお金を送ってくるのだが、どこでどうやってお金を作るのかしら、て妻が鞄を見てみると銃の弾倉(弾入り)が見つかって、夫はまた黙って出稼ぎに出ていくの。

サウナで働いている湖北省の女(シャオユー)は男と会うのだが彼には妻がいて別れてくれなくて、その妻に突然襲われたり、仕事場で洗濯していると客のブ男にマッサージしろ、て執拗に迫られたりで、もういい加減にして、とナイフを手に取る。

広東省の若者(シャオホイ)は工場で同僚に怪我をさせてしまって、そいつの分の給料払え、それまでお前は無給ねと言われてそこを飛び出し、もっと金を稼げそうな職場を求めて土地を移って、ナイトクラブのボーイになって、そこで知り合った同僚の女の子とデートするのだが、彼女からごめんね子供がいるの、て言われてがっくりきてまた別の工場に移って、それで。

中国で実際にあったらしい、いかにもそんなふうな4つの事件、4つの話は完全に切れているわけではなく、それぞれのエピソードの冒頭や終りに別のエピソードのひとがちょっとだけ横切ったり顔を出したりもするので、これらはひとつの世界のおはなしとして、連鎖して停まることのないなにかとして描かれている。 「ラルジャン」のような、誰にも止めることのできないあのかんじ。

ラスト、刑務所を出てきたらしいシャオユーの前で野外芝居の声が「お前は自分の罪を認めるのか?」て執拗に迫ってくる。 YesでありNoでもある、そういう場所に置かれたのは、この4人だけじゃないはず、ていうのと、罪のありかは微妙だとしても、悪とか暴力とかはある。 確実にある、罪に先立ってあるんだ、たとえばこんなふうに。 ていう映画。

ところどころに顔をだす動物たちが印象的でねえ。 鞭で飼い主に虐められていた馬が、ダーハイにぺこり、て頭を下げるとこはきゅんとくるし、シャオユーの前を唐突に横切るヘビは神様のように見える(ヘビ、動きが速すぎるけど)。

あと、出てくる人達の顔がどれもみんな、ジャ・ジャンクーの映画だなあ、て。
“Unknown Pleasures” (2002)のあたりからずっと、Joy Divisionな、動物みたいに無防備で不機嫌なひとたち。

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