6.07.2014

[film] I Rymden Finns Inga Känslor (2010)

7日の午後に渋谷で見ました。 「シンプル・シモン」。  英語題もおなじ。
ほんとは新宿に”The Grand Budapest Hotel”を見にいったらぱんぱんの満席でぜんぜん無理そうだったので諦めてこっちにした。 雨なのにねえ。

シモンはドラム叩き(ブリキの太鼓ね)でドラム缶に籠って宇宙を漂っているアスペルガー症候群の若者で、兄のサムだけに心を許しているのだが、サムと同居していたフリーダはサムとシモンとの3人暮らしが耐えられくなくなって出ていってしまう。 サムのために新しい彼女を見つけるべく得意の科学的アプローチで人選をはじめて、やがて道端でぶちあたったイェニファーにつっかかっていくのだが。

恋人にふさわしいのは好みや嗜好がおんなじひとがいいのか正反対のほうがいいのか、そんなの関係ないただのケミストリーなのか本人のやるき次第なのか、人の気持ちとか恋とかよくわからないシモンは懸命に学習して悩んで考えて、なんでかというとサムは自分の唯一の理解者でサムにもそういうひとが必要と考えるから。そうすることで調和がうまれて宇宙とはそういうもので、自分のドラム缶が浮かんでいられるのもそういう場所にちがいないから。

兄の理想の恋人、恋人たちのための理想のデートをセッティングすべく、ヒュー・グラントのラブコメをいっぱい(あんなにあったか?)借りて勉強して、お財布はたいてお花に生演奏にディナーに花火に奮発して、サムとイェニファーのデートは決行されるのだったが、ねえねえシモン、それだけやったら恋愛マスターだよね、きみ? (て、イェニファーはじっと見つめてくる)

サムとシモンは同一人物で、シモンはサムのなかにいる凝り固まって怯えた子供、ていう解釈をすることもできるかも、なのだが、やっぱりシモンはそこにいて、宇宙のなかで彼を「発見」したのがあけっぴろげで屈託なくげらげら笑うイェニファーだった、ていうとこがとっても素敵なの。

ラストのシモンの笑顔がすばらしくて、そこで「でも、触るな」とか言ったら最高かも、と思ったけどさすがにそれはなかった。

しかしスウェーデンだった。 色づかいも含めておおらかでほんわかで、こんなのありか、と思いつつもそういう「世界」として、そういう「世界」があることを納得させられてしまうスウェーデン、アバとカーディガンズ(トーレ・ヨハンソン)の、ムーミンの、最近の映画だと「エヴァとステファンとすてきな家族」のスウェーデン。

音楽は知らないのが多かったけど、イェニファーがシモンにイアホンの片方を渡して聞かせてあげるとこ、音楽は世界とシンクするのよ、って教えてあげるとこ。この豪快かつ確信的なものの言い切り方。  そう、ムーミン谷はあるんだ。

だからこれを「ラブコメ」と呼んでよいものか、ちょっと悩むの。宇宙とか地球の成り立ちを描いたようなでっかいスケールのやつで、シモンもそっちのほうに合意するとおもうよ。


関係ないけど、午前中にようやくアナログの45回転を可能にする箱と共にプレイヤーが帰ってきたので、ドーナツ盤の穴につっこむあれ(なんていうの?)を買ってきて、これでぜんぶ揃って、だいじょうぶになった。

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