6.08.2014

[film] The Grand Budapest Hotel (2014)

8日、日曜日のごご2時、日本橋で見ました。
すうっと見たくてたまんなくて、こないだの飛行機でもメニューにはあったけど我慢して、目に入ってくる写真以外は見ないで、関係記事も一切読まないできた。 これから見るひとはここから先は読まないほうがいいかも。

ほんとはシネマカリテで見たかったし見るべきと思っていたのだが、安易な予約の道を取ってTOHOにしてしまった。 お仕置きに気色悪い劣悪なCM群に目と耳を塞いで延々我慢する。

それにしても、この映画おもしろすぎ。
売切れ続出は当然だわ。 ざまあみろ、だわ。

85年、老作家(Tom Wilkinson)が孫に邪魔されつつ創作の秘密を語る。それを受けるかたちで68年、若い頃の作家(Jude Law)がZubrowkaていうヨーロッパの国の山奥にあるGrand Budapest Hotel に滞在してて、そこのコンシェルジュ(Jason Schwartzman)経由でホテルの所有者であるZero Moustafa(F. Murray Abraham)と知りあってディナーを共にし、そこで明かされるホテルの、Zero自身の数奇な運命と歴史と、それがなにか?  と。

更にここから話しは32年のホテルに飛んで、そこでのZeroはまだ駆け出しのロビーボーイで、神懸かり的に強烈なコンシェルジュ - M. Gustave (Ralph Fiennes)がホテルの全てを支配していた。
ホテルの上客でM. Gustaveともあれこれ親しかったMadame D. (Tilda Swinton)が突然亡くなり、電車で弔いに向かった彼とZeroは、遺言執行人(Jeff Goldblum)がいて使用人(執事がMathieu Amalric、メイドがLéa Seydoux)がいて、邪悪な親族(Adrien Brody, Willem Dafoe)がいるなか、主な遺産相続先がM. Gustaveだったもんだからざわざわして、やがては家のお宝である中世の名画 - ”Boy with Apple”を巡る騒動に巻き込まれることになって、しかも世間は戦争に向かいつつありなにがどう動いていくかさっぱりわからない。

そのうちM. GustaveはMadame D. 殺害の嫌疑で投獄されて、彼の脱獄〜救出と犯人探しと悪者退治と転がっていくなか、ホテルの、M. Gustaveの、Zeroの、運命やいかに! なの。

とにかく全部書いていったら本が1冊書けてしまうくらい、主人公達が画面の右左上下をすたこら移動するたびにいろんなことが連動して立て続けに起こりまくり、それはジェットコースターというよりはワイアーが突然切れたり捩れたりするゴンドラのようで、スリル満点で楽しいったらない。

師弟愛とか友情とかはもちろん、老獪な恋愛と無垢な恋愛があり、祈りと懺悔があり、殴り合いがあり人殺しがあり猫殺しがあり銃撃があり、脱獄があり雪上の追っかけがあり断崖絶壁のぶら下がりが(建物のぶら下がりも)あり、軍隊がいて謎の秘密結社がいて牢屋がいてお菓子屋がいる。 もうなんだってあるし、誰だって出てくる(ありえないオールスター映画だよ。That’s Entertainment !)。

そういうのが誰が見たって納得のWes Anderson的な縦横奥手前の、豊穣なカラー(これまでで一番色彩は豊か)、回り続けるオルゴール - バロック音響の世界のなかでぐいぐい展開されるんだよ。
テーマ的にもここ数作の中心にある領土とか境界を巡ってごたごたしていく一族郎党の物語に、歴史とか時間ていう要素が加わることで別のキツネ穴が掘られている。

歴史や運命に抗うとか、愛する誰それとかホテルのため、とかそういうのではなく、ただただすたこら走りまわって追っかけまわして、その動きとシルエットのなかに全てはある、で、そういうの全部が、最終章のタイトルである“The Second Copy of the Second Will”ていうとこに集約されていることに気づく。 なんていかれてて、しかし美しいこと。

配役も呆れるくらいにすごいー。
Ralph Fiennesの雇用主顔、Tilda SwintonとSaoirse Ronanのキツネ顔にAdrien BrodyとWillem Dafoe(”Streets of Fire”みたいなワル)の悪兄弟顔、弁護士顔のJeff Goldblum、脱獄王のHarvey Keitel、前作に続き軍隊顔のEdward Norton、フランス人か!のMathieu AmalricとLéa Seydoux、秘密結社顔(なんだそれ)のBill Murray、おべんちゃら使いのOwen Wilson、どいつもこいつもまったく。

Alexandre Desplatによる音楽もすばらし。特にエンドロールで嵐のように流れるバラライカとか。32トラックだそうだがもっとあるんじゃないか、ていうくらいびっちり埋まっている。

たぶんもういっかい見る。 サントラも買うしDVDも買おうか。

週末がいってしまうよう。

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