4.14.2024

[theatre] Plaza Suite

4月1日、月曜日の晩、連休の最後にSavoy theatreで見ました。
この日は、パンダ → 怪獣 → Sarah Jessicaという流れ。

わたしは『フェリスはある朝突然に』を1987年の封切初日に(たしかシネセゾン渋谷で)見て、あまりに楽しかったのでそのまま2回続けて見た(昔はそういうことができた)ものであるし、1998年、”Sex and the City”がHBOでエアされた時にも見て、これはすごいのが始まったわ、ってなったし、Matthew BroderickとSarah Jessica Parkerのふたりが結婚したときもそれはそうでしょうとも! だったし、ある世代の人々にとっては彼らの共演舞台は夢のようなもので、どれだけ酷評されていたって、チケット代が高くたって(高いわ)行くしかないやつだったの。

Matthew Broderickは2019年、Kenneth Lonerganの”The Starry Messenger”の舞台とBFIでの “You Can Count on Me” (2000)の上映があった際のトークでお姿を見たことはあったのだが、Sarah Jessica Parkerははじめて、彼女にとっては初めてのWest Endの舞台となるそう。

原作は1968年に書かれたNeil Simonの戯曲 - ブロードウェイの初演時、演出Mike Nichols, 主演はGeorge C. ScottとMaureen Stapletonだったって。演出はJohn Benjamin Hickeyによる3幕もの。

どの幕も1968年から69年にかけてのNew YorkのThe Plaza Hotel、少しづつ季節が異なる719号室に滞在する目的とどこから来たのか、がそれぞれ異なる1組のカップルのやりとりが中心で、彼ら意外の登場人物はホテルマンなどの3人だけ、ほんの少し。

1幕目が“Visitor from Mamaroneck” - 冬の午後。最初にSarah Jessicaが現れて(それだけで客席がわぁーってなる)、ホテルマンとのやりとりで、ここは本当に719号室? って何度も確認して、20年前に結婚式をあげたこの日、その晩にここに泊まったのよ! ってはしゃぎまくって嬉しそうで(彼女が足をばたばたさせるだけでたまんなくなるのはなぜ?)、でもやがて入ってきたややかっちり堅物ふうの夫のMatthew Broderickは仕事のことで頭がいっぱいらしく彼女の相手も適当に流してばかり、仕事のやり残しがあるのでオフィスに行かねば、とか手続きで秘書を部屋に呼びつけたりで、やがてSarah Jessicaは水面下の夫の浮気に勘づいて…

アニバーサリーの華やぎが会話の進行やちゃんと聞いていなかったりのすれ違いと共にじわじわ萎れて失望に変わっていく悲劇 - とまでは行かない暗い雲のうねりがうまく表現されていて、地味だけど3つの中では一番おもしろかったかも。

2幕目は“Visitor from Hollywood” - 春の午後、ハリウッドの有名プロデューサーをしているMatthewの滞在する719号室に同窓生だったSarah Jessicaが訪ねてくる、という設定で、今度は先に部屋にいるMatthew がぎんぎらセレブの格好と挙動で彼女を迎え、彼女は彼女で、こんな有名な彼と今晩この先ひょっとしちゃったりしたらどうしましょう! って舞いあがってくるくるおかしくなっていくのだが、Matthewの腰の動き(&メガネ)って誰がどうみてもAustin Powersのそれで、怪しすぎて変すぎて話に集中できなくなってしまう。これさえなければあの後どうなったのか、もう少し考える雰囲気になったかも。

3幕目は“Visitor from Forest Hills” - 初夏の午後、ひとり娘の結婚式当日、新郎やゲストを階下に待たせ、ドレスを着た状態で719号室のトイレに鍵をかけて籠城してしまった娘を親であるふたりが互いにあんたのせいよ、って罵って、娘をなだめたりあやしたり、いろんな汗まみれになりながら出ておいでー、ってやるのだが、娘からは何の反応も返ってこないので、つまりこういうことに違いない、ってそれぞれが勝手に憶測の翼を広げて、結果的にふたりの結婚観、夫婦観(の違い)を露わにしていくの。ピンポンのようなやりとりはおもしろいけど結末はだいたい見えているこてこての喜劇なので… まあしょうがないか。

クラシックなホテルを舞台にしたNeil Simonの60’sクラシックだからとは言え、新しい要素などはカケラもなく、これでいいの? にはちょっとなるかも。 Ivo van Hoveにでも演出させてみればよかったのに(やらないか..)。

ふたりが演じた良くも悪くも凝り固まってがちがちの男女をFerris BuellerやCarrie Bradshawだったらどんなふうに見たり評したりしたかしら? など考えてしまう or ということを思い起こさせるために仕掛けた、とか?

帰り、出入口のようなところに人々が溜まっていたので少し待ってみることにした。15分くらいして現れたふたりは疲れも見せずに丁寧にサインしたり話したりしてて、あああのふたりだわ、って改めて噛みしめて帰ったの(サインはまた次回に)。

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