4.15.2024

[film] Mothers' Instinct (2024)

4月2日、火曜日の晩、Picturehouse Centralで見ました。
監督はフランスのBenoît Delhomme、Barbara Abelの同名小説 (2012)をベルギーのOlivier Masset-Depasseが映画化した”Duelle” (2018)のリメイクだそう。でもこれはアメリカ映画。

60年代アメリカの郊外の閑静な住宅地 - ぜんぶ一軒家 - で隣り合っている家の主婦Celine (Anne Hathaway)とAlice (Jessica Chastain)は歳も近いしそれぞれの男の子の歳も近いので、学校への行き来も出迎えも、子供らがずっと一緒に遊んでいる時間も一緒で家族ぐるみで付きあっていて親友のように仲がよい。

Celineの誕生日のサプライズ・パーティーも少しだけ波風がたったりしたが楽しい会となり、でもその翌日、Celineの息子Maxが具合を悪くして学校を休んで、母が一瞬目を離した時、Aliceが直前に気づいて知らせようと騒いだもののMaxはベランダの高いところから転落して亡くなってしまう。いつも一緒だった親友のMaxが亡くなって混乱するAliceの息子のTheo。

悲嘆にくれるCelineはAliceと距離を置くようになり、抱えられるようにどこかに連れられていなくなって暫くして戻ってきて、なんとか昔のように仲直りしたかに見えたのだが、前よりもTheoのことを気にかけてずっと傍らにいるようになったり、Aliceの家に同居していた義母が心臓の病で亡くなったり、定期的に薬を飲んでいた彼女の死を不審に思ったAliceはCelineの挙動に疑いをもって追い始めたり、Celineの家でTheoがピーナツアレルギーで倒れて病院に運び込まれたり、これもCelineがわざとやったのではないか、と思うようになったり、だんだん視野が狭まっていく。

とても愛していた一人息子を失った喪失感が母たちの思いや振るまいをどんなふうに狂わせていくのかを追っていく、というよりはCelineが悲しんでいるのはわかるし、友人としてなんとかしてあげたいけどどうすることもできないAliceの目で見て、ふたりの間に起こっていく不審な出来事や、Theoに彼女が何かしたりしないか・企んでいないか、という懸念などが具体的な恐怖としてどう立ちあがっていくのか、を中心に描くサスペンス(少しホラー)になっている。のと、反対側に立つAliceのTheoに対するやや過剰ともとれる防御姿勢もどこかで一線を越えたりしないか、というスリルもあり、後半は証拠を探してAliceがCelineの家に忍びこんだり、互いに猜疑心の塊りになって動けなくなっていく金縛りの、エモのジェットコースターのこわさ。(引っ越すか旅行に出るかしようよー、ってずっと)

そして、これはわざとなのだろうが、彼女たちと比べて父親たちの影の薄く頼りないこと – ほぼなにもしないで、自分の都合と機嫌でぶちきれて感情的に突っかかる程度で、真面目なよい人たちぽいけど、それだけ - になっちゃうか、あのふたりの前では。母たちの方がよほど理知的に全体を見ようとしているというー。

Anne HathawayもJessica Chastainも、過去作のなかではおとなしく耐えたり従ったり、というのとはぜんぜんちがう、ざけんじゃねえよ、って一度キレたらものすごく怖くて行くところまで行く(行ける)女性たちを演じてきたと思うのだが、その二人が正面からぶつかって大喧嘩したら.. というところまでは行っていなくて、え、そんな程度で終わっちゃうの? になったのは残念だったかも。飛び道具とかワイヤーアクションまでは求めないけど、向かい合って会話するだけであれだけのテンションをあげられるふたりなんだから、なんかもったいないー。

Theoがどんな大人に成長するのかが楽しみだわ..

あんま関係ないけど、ふたりのお洋服の配色とかセンスはさすがとしか言う他なく、これもMother’s Instinct的ななにかなのか、とか。


少し前に回転ガラス扉に激突して目の上を流血したのに続き、歩道の手前で躓いて転んで膝小僧をきった。もうどうしようもなくダメな老人になってしまった。 次はきっと階段から落ちるか、車にぶつかるかだと思うんー

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。