11.28.2019

[log] Moscow

まだ11月初めの頃の書いていないやつがいっぱいなのだが、19日火曜日の晩から休暇でモスクワとサンクトペテルブルクに行ってきて、日曜日の晩に戻ってきて、まだだるくて眠くてしょうがないのだが、これが元に戻るとさっぱり流れて忘れてしまうので書けるところまで書いておく。

もともとモスクワは仕事で何度か行っていて、でもいつも2~3日で、ホテル近辺からほぼ出ないで終わってしまうし、もともとサンクトペテルブルクはずっと行ってみたい憧れの地で、でも夏は混雑がひどいと聞いていたのでじゃあ秋頃に、と思っていたら後ろに後ろに倒れていってほぼ冬、みたいになってしまった。でも気分としてはあくまで夏休みの続き、なの。

ぜったい行きたい(行きたかった)のはエルミタージュ美術館とマイリンスキー劇場で、飛行機はモスクワ往復しかないからモスクワとサンクトの間は4時間の電車移動になる、その辺の時間を考慮していくとモスクワ2日、サンクト1.5日、くらいが現実的かなあ… などなど。

水曜日の朝に飛ぶと夕方16時くらいにモスクワに着く(飛んでいるのは3時間、時差は3時間)。のだが、モスクワでぜったい見るべし、と言われていたArmoury Chamber(武器庫)とDiamond Fund(ダイアモンド庫)を含むクレムリンぜんぶ木曜日が休みであることがわかり、がーん、てなった。

気を取り直してBAのサイトを見たら前日火曜日の21時過ぎに飛ぶ便に乗れば水曜の朝4:20に着くことがわかったので、これよこれ、ってチケットを替えて火曜日に会社から戻って支度して空港に向かい、機内で3時間も寝れるわけないけど目をつむり、UK時間だと午前1時半、マイナス3度で真っ暗のモスクワに着いた。

市内のホテルに着いても入れてくれるわけないので荷物だけ置かせてもらって24時間やっているウクライナ料理店(だーれもいない)に入ってボルシチとか食べて、でもぜんぜん時間余ってて寒くて眠くて、できることといえば(凍死かな..)と周囲を見渡してみたら地下鉄の入り口らしきものがあったのでそこに潜っていくつかの駅をまわることにする。

モスクワの地下鉄、というと4月に帰国した際にシネマヴェーラで見た『私はモスクワを歩く』(1963)がじんわり蘇ってきて、あの夏の爽やかなイメージとは真逆なのだが、とにかく天井が高くてでっかくて荘厳でかっこいいの。 ゴミが吹きすさぶ掘っ立て小屋のようなNYの地下鉄、もぐって埋まって獣穴としか言いようのないロンドンの地下鉄、ゴミ広告と痴漢と圧しかないにっぽんの地下鉄、これまでに乗ったいろんな都市の地下鉄と比べてもぜんぜん違って、見あげて見まわしてひー、ばっかりだった。電車に乗ってひと駅ふた駅行って降りると装飾もその意匠もまったく違っていたりするのでぜーんぜん飽きないの。朝のラッシュ時のごじゃごじゃをすり抜けながら遊んでいるうちに午前は簡単につぶれた。

ここから先は20-21日に見た美術館系を。

Architectural ensemble of the Moscow Kremlin

クレムリンの敷地内に散らばっているいろんな古い建物たちの総称で、教会とか聖堂とかいろんなのがあるのだが(少しは知っている、気がする)キリスト教のそれらとは明らかに違うかんじで、でもとにかく天井までびっちり埋め尽くしてあるフレスコだったりモザイクだったりがいくら眺めていても飽きないの。こんな寒いところでこれらの建物に籠って吊ったり吊るされたりして隅から隅まで描いて祈っていたんだねえ。

Armoury Chamber(武器庫)

おなじクレムリンの敷地内にあるのだがここは↑とはチケットが別で、展示も博物館式にロシア帝政の頃から(?)のいろんなのが飾ってあって、三の丸尚蔵館、かしら。

ドレスに宝飾に武器に馬車に橇に陶器に.. ヨーロッパの王家のカラフルな華々しさや洗練はそんなにないのだが、例えば馬車とか山のようにでっかい。これをひっぱる馬って象よりでっかくないと、とか。

Diamond Fund(ダイヤモンド庫)

武器庫とおなじ建物内にあるのだがこれもチケットは別で、しかもネットでは売っていないので寒いなか1時間くらい前から並んで、セキュリティも厳重で荷物チェックでも延々並んで、写真も当然だめで。

なかにあるのは大粒小粒のダイヤモンドの群れとでっかい金塊と赤とか緑のいろんな宝石と宝飾品、ありえない分量のがじゃらじゃらざくざく並べられていて、あんたお金持ちだったのね、としか言いようがないの。宝石に目が眩む、という経験をしたことがあまりないのだが、このひと粒ふた粒くれないかな、そしたら本とかレコードいっぱい買えるのにな、くらいは思った。

あと、“Mission: Impossible – Ghost Protocol” (2011) でクレムリンに赴いたTomのチームはなんでここを狙わなかったのだろうか、とか。

Pushkin Museum of Fine Arts

20日の朝の彷徨いが悪寒と体調不良をよんで、翌朝は10時くらいまで立ちあがれず、でもとにかく這うようにしてプーシキン美術館に向かった。気温はマイナス8度で、こんなのNYの冬でも割とあったから、と初めは思っていたのだが、NYは道路から湯気でているし人もいっぱいいて道路も狭いし、クリスマスの音楽も流れているし、でもモスクワの路上は風と氷粒がちらちらぴーぷー舞っていてとにかく寒いの。

本館には彫刻とか遺跡関係と絵画は18世紀くらいまで。あるはずのボッティチェッリがなかったり、ロシアにあるヨルダーンスの絵を網羅した”Russian Jordaens. Paintings and Drawings by Jacob Jordaens from Russian Collections”ていう特別展をやっていて、これはこれですごくおもしろかったのだが、この展示のせいかあるはずのルーベンスがなかったり。でも全体としてはとても見易くて、角を曲がるたびにいちいち圧倒される、そういう構成になっていた。

19世紀以降の絵画はGalleyていう離れの別館にあって、入り口にでっかいボナールが2点 – “Early Spring in the Country” (1912) と”Autumn. Picking Fruit” (1912) があり(館内には彼のもう少し小さい’Summer. The Dance” (1912)も)、マティスの『金魚』があり、セザンヌの部屋があり、ヴァロットンの部屋があり、印象派が節操なくどかどか置いてあって、なかなか至福だった。

Tretyakov Gallery

プーシキンを出たら16時少し前で既に薄暗くなりはじめていて、地下鉄でトレチャコフ美術館に。

今年の初め、Bunkamuraでやっていた『ロマンティック・ロシア』展はここから来たやつで、あの女性の絵(忘れえぬ女)はまだ日本に滞在してて戻っていないのだった。ものすごい量のロシア絵画(近代寄り)がいっぱいあって、おもしろいのもあるのだが個々に見ていく時間があまりなくて、ここで見たかったのはカンディンスキーとマレーヴィチで、でも聞いてみたらそれらは別の建物だよ、と言われてしまったのであきらめた。

またこんどな、って(できたらもう少し暖かい頃に)。

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