11.08.2019

[film] Loulou (1980)

10月14日、月曜日の晩、BFIのMaurice Pialat特集で見ました。これがPialat特集の最初の1本。
7月のBarbicanでの特集- ”After the Wave: Young French Cinema in the 1970s”でも上映されていて、でもその時は見れなかったの。

Nelly (Isabelle Huppert)は代理店に勤務するAndré (Guy Marchand)と結婚して広いアパートに住んで経済的にはまったく問題なさそうなのだが、ディスコで出会ったどうみてもチンピラのLoulou (Gérard Depardieu)と仲良くなって彼のところで暮らし始めて、更に自分ひとりで部屋を借りてLoulouとその仲間もそこに出入りするようになり、やがてNellyは妊娠して..

堅気のAndréがいてやくざのLoulouがいて、ふたりの間にいるNellyの愛はAndré → Loulouへゆっくりと移っていくのだが、そこに明確な理由はないかんじだし、Loulouはやくざですぐ怒ったりするし、彼と一緒にいることですれすれの怖い思いもするのだが、なんだか離れられない。幸せとか愛とか、それらのスパークとか中毒とか、そういうのとは(たぶん)別の次元で互いに離れられなくなってしまうふたりのありようがとても生々しいし放っておいてくれ、だし。それってふたりの俳優のとんでもなさ故、なのかも知れないが、この映画が捕えようとしているのは悲劇でも喜劇でもない、その中間に吊るされた振り子の魂の行ったり来たりで、わかるわからないは別としてとても近しく親しく感じさせるなにかだよね、と思った。

Nous ne vieillirons pas ensemble (1972)​​​

10月29日、火曜日の晩、BFIのPialat特集で見ました。英語題は”We Won't Grow Old Together”。

Catherine (Marlène Jobert)とJean (Jean Yanne)のカップルがいて、一緒に暮らしているのか彼のところに彼女が来て泊まったりしているだけなのかわからないのだが、付き合い始めて長い時間が経っているらしいふたりの今は余り仲がよくないようで、彼は彼女にすぐキレて悪態ついて引っ叩いたりするし、彼女は彼に一緒にいても楽しくない、ってはっきり言うし、彼の暴力を知っている彼女の両親も明らかに彼を嫌っているし、彼も彼女のことを諦めて昔の彼女とよりを戻したりしているし、でもやっぱりCatherineと結婚したいようで指輪を持っていったりすると当然受け取って貰えず、じわじわストーカーみたいになっていって、そんなでも彼女は彼に誘われたりすると一緒に海に行ったりするので、だらだら続いていく互いにとってたいへんよくない関係 - 人生相談に行ったら即座にやめなさい、って言われるような - の見本、みたいのが極めて細密かつリアルに描かれていて、その皮膚レベルで本当にありそうなずるずる感がすごい。どうしろっていうの? とか。

“Loulou”もそういうやつだと思うのだが、作劇として破局とか破滅とかを持ち込むことが簡単なところなのに敢えてそうせずに、どこまでもその関係を泳がせて漂わせておく、そうすることで彼らの表情や息遣いがすぐそこにあるものとしてずっと残って、それってどういうことなのだろう、そこに普遍性のようなものを見いだせるとして ... ?

永遠の愛とか、愛の普遍性、みたいのは割とドラマになるけど、ここで描かれているようなどこまでも救われない関係のような、剥がれにくいかさぶたみたいなのも、十分にそういう生きて呼吸しているなにかで、そういうところにだって愛はあるんだから、とか。

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