11.26.2019

[film] Desolation Center (2018)

16日、土曜日の夕方、CurzonのSOHOで見ました。Doc’nRoll Film Festivalからの1本。
これがLondonプレミアで、上映後には監督のStuart Swezey, Mark Stewart (Pop Group), Jack SargeantとのQ&Aがあった。 LA~西海岸パンクの隆盛に関わる結構重要なドキュメンタリーではないかしらん。

80年代初のLAパンク – Black Flag – Ramones – Minutemenのライブが規模の大きな警察沙汰になり、その火がワシントンDCに飛んで燃え広がり、等は教科書的な知識として知っていたのだが、LAでは警察が寄ってこないような形態の自由なライブをやりたいと、この映画の監督たちがLAダウンタウンの廃墟になっているようなスペースを安価に借りてゲリラ的にライブをやっていく団体としてDesolation Centerを立ちあげ、チラシやzineを駆使してライブの場を作っていくのだが、その流れで、例えばなんもない砂漠でライブをやってみるのはどうだろうか? と思いつき、場所を探して(なんにもないところなら場所代不要だし)、交通手段(スクールバス - 週末なら空いているし)を確保して、口コミとかチラシで呼びかけ、昼間に集まって遠足みたいにみんなでわいわい会場=砂漠に向かう。

第1回がSavage RepublicとMinutemen、2回めがEinstürzendeNeubautenと爆破系のパフォーマンスアート(Mark Paulineとか)、3回目が(これが西海岸デビューとなった)Sonic YouthとMeat Puppetsと Redd Kross。(いまも見たいやつばかりだわ)

企画する方も、客として参加する方も、ミュージシャンたちも、砂漠にたどり着いたら何が待っていてどんなことが起こるのかあんま予測しておらず、でも実際やってみたらなんか気持ちいいし自由でクスリとかやり放題だし楽しいし画期的かも、になる。 3回それぞれ場所を変えてやってみても楽しかったので、これってひょっとしたら..

こうしてここから2回めの砂漠に参加していたPerry FarrellはLollapaloozaを思いつき、Coachella の創業者のひとりは2回目の実施会場のすぐ北にあるCoachella砂漠 – もはや一大産業になりつつある – でのライブを構想し、ライブとはちょっと違うけど今や世界的な狂乱火祭りになっているBurning Manも、みんなここから派生してきた。

こうやって草の根で始めたイベントも結局は産業化されていっちゃうんだわ、ていう冷めた見方もできるのだろうが、この映画が映しだす写真や少量のフッテージが吹きつける生々しい空気感は、なにかとてつもないことが起こっているという緊張感とその反対側の、砂漠なんだからどうもなんねえよな、ていう適当さのバランスがすばらしくよく出ていて、そんなのパンクとか音楽に関係あるのか? と問われればたぶんあるのだ、と言おう。たとえばそんなふうに危うく適当な生の突端で弾けとぶ音とか衝撃波こそがパンクなのではないか、とか。

ライブのSonic Youth(Thurston Mooreがコメントしている)は、この時点で既にじゅうぶんSonic Youthの音になっていて、Kim Gordonさまのかっこよさにも痺れる。

Einstürzende Neubautenはなつかしー(浅草)、しかないのだが、コメントしている現在の各メンバーを見るとみんな年とるよねー(おまえもな)、としか言いようないなか、BlixaはFrancis Baconみたいになっていて驚いたり。

上映後のトークは、なんでそこにMark Stewart氏がいるのか、が謎だったのだが、監督のStuart Swezey氏がLAでやっている独立系出版社 - Amok Booksにお世話になったし、ということらしい。Mark Stewart、とにかく落ち着きのないおっさんで、客席の方に移動して勝手にコメントしたりいちゃもんつけたりおもしろかった。映画にも登場する語り部としてのMike WattとFugaziのメンバーにはきちんとRespectをしてて、彼の口からそういう名前が出てきたので、へー、とか。

団体としてのDesolation Centerはまだ細々と活動を続けているらしく、グッズとかも売っていた。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。