6.30.2017

[film] The Graduate (1967)

25日の夕方、SOHOで”The Seasons in Quincy: Four Portraits of John Berger”を見たあとにBFIに移動して見ました。 “The Seasons..”が終わったのが17:54で、これの開始は18:15で、地下鉄の駅まで走っていって目の前で扉を閉められたときにはぜったい無理だと思ったのだが、Waterlooで下りてから走って駆けこんだら丁度始まる手前で、席に座ってDustin Hoffmanみたいににーっ、て笑った。

BFIではDustin Hoffmanの特集上映をやってて、そのなかの目玉が、これの4Kリストア版。これだけは他の映画館でもリバイバル上映されている。「卒業」 ← よい邦題ね。

中学校のときに映画館で見て以来で、そのときはS&Gの音楽を聴く、ていうのが大義名分としてあったりして(うそつき)、内容についてははらはらどきどきだったわけだが、そののち自分がこの歳になって、BenではなくてMrs. Robinsonの年齢目線で見るようになったり … そんなはずはないのだった。

大学を輝かしい成績で卒業して西海岸の実家に戻ってきたBen Braddock (Dustin Hoffman)は、歓迎パーティーの晩にMrs. Robinson (Anne Bancroft)に激しく誘惑されて、その晩はなんとか逃れたものの結局押し倒されてやられて関係ずぶずぶになって、でも彼女の娘のElaine (Katharine Ross)に出会ったらそっちにめろめろになって揺れまくって、どうするんだ、になるのだがやっぱりElaineだ、てなったらMrs. Robinson は激怒して娘は別のと結婚させるから、て言われてBenは ..

今だとここで描かれる挙動のあれこれにセクハラ - パワハラ - 童貞喪失 - ストーキング、といったラベルを貼ってしまうのは簡単なのだが、これらはあくまでもBenが自分を発見して「卒業」するための「通過儀礼」としてあって、40年前の西海岸はそんなふうだったんだから、とかいわれてもちっともおかしくない。
というか、そういった人と人の交錯よりも、プール(の底)、プールサイド、ランニング、夜のホテル、クラブ、夜の通り、動物園、などのイメージが昔に見たときよりより鮮烈に映って、これらの場面場面が演劇の書き割りとしてかっちりBenの逡巡にはまるように機能していて、この辺は我々の知る青春映画のそれ - 主人公たちのエモが画面を作ったり壊したり - とはちょっと違うかも、て思った。
そういう、60年代アメリカ西海岸のエスタブリッシュメントの(演劇)ドラマとして見てみるとめちゃくちゃ面白くて、実際客席はみんなげらげら笑いながら見てて、昔はみんなしーんとして見てたよねえ(なんでだ?)  って。

60年代の西海岸、プール、とかから、ここにLBGTを絡めてみる、ていうのは今ならありかも、とか、同様の女(達)と少年を巡る物語である"20th Century Women"の続編 - Jamieのその後 - をこのプロットで撮ってみることは可能か、とか、今これをリメイクするとしたら誰が誰? とかいろいろ想像して遊ぶことができる。でもDustin Hoffmanみたいな演技 - むっつりいきなり乳を揉む、とか - ができる俳優、いそうでいないかも。

脚本のBuck Henryさんがホテルクラーク役で出てる。
前にLincoln Centerでの"The Owl and the Pussycat" (1970)のトークのときにこれのことを言っていたなあ、って。

音楽、”The Sound of Silence"が何度か流れて、大好きな曲なのだけど、この映画のトーンというか色味とはちょっと違うよねえ、とこれは昔も思ったかな。"Mrs. Robinson"はとてつもない、といまだに思うけど。

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