6.08.2017

[music] Billy Bragg on Skiffle and the Roots of British Counter-Culture

Royal Albert Hall では7月まで"Summer of Loe Revisitied"ていう60年代のカウンターカルチャーを振り返るシリーズイベント(フィルム上映とかトークとか)をやってて、そのなかのひとつなのか関連しているのかわからんが、"Classic Album Sundays"ていうシリーズがあって、アナログ盤をかけながらゲストと主宰のColleen Murphyさんがトークをする、そのひとつで"Billy Bragg on Skiffle and the Roots of British Counter-Culture"ていうのがあったので6日の晩、行ってきました。

Classic Album Sundaysのサイトはこれ。 なかなか...

http://classicalbumsundays.com/

これまでのゲストにはSoul II SoulのJazzie Bとか、来週は"The Zombies Present Odessey and Oracle"ていう題目でRod ArgentとColin Blunstone, Chris Whiteがおしゃべりする、とか。
もっと早く知っておけばよかった。

会場はRoyal Albert Hall、といってもでっかいホールの方ではなく、そのなかのElgar Roomていう小さな視聴覚室みたいなとこ。
はじめて行ったのだが、アパートから歩いて10分のとこにあったなんて。

部屋には椅子が100くらいかしらん。 椅子の上に(全ての椅子ではないけど)、色刷りのマッチ箱くらいの小さなブックレットがぽつぽつと置いてあって、手に取るとイラスト入り手書き文字でびっちり、今回のこのイベントの主旨やポイントが説明されている。Billy Braggのファンはこういうことをやったりするの。 大切にとっておくことにする。

わたしもそんなBilly Braggさんが好きでずっと聴いてて、最後にライブを見たのは2003年のNYで、こっちではBBCの討論番組とかに出ているのを見ると嬉しいし、彼の政治スタンスも込みで選挙も応援してるし、ライブも11月に行くし。  進行のColleen MurphyさんはボストンでThe Smithsの前座でBillyを見てるんだって.. いいなー。 このおねえさん、経歴とかなかなか筋金いり..

今年60歳になる(やれやれ、てかんじで君たちのおじいちゃんおばあちゃんに労働党に入れるように言おうな!を動画でやってた)Billy Braggさんは出たばかりの本 - "Roots, Radicals and Rockers: How Skiffle Changed the World"を紹介しつつ、Lead BellyやAlan Lomaxから入ってアメリカのJazzが英国に上陸して、それがKen Colyer、Lonnie DoneganらによってSkiffleになり、それが当時の英国の若者のなかでDIY的に爆発して、それがいかにその後の英国音楽やレベルミュージックとしてのロックに流れていったのか、影響を与えたのか、を時間の制限もあるのでそうとう端折ったのだと思うが、包括的に紹介する、ものすごくスリリングで刺激的な内容だった。

2月にShirley Collinsのライブを見たとき、次々と登場してよくわかんない楽器を奏でたり朗々と歌ったりする人たちに触れて、ここの音楽の地下鉱脈だか水脈だかってとんでもないかも、て思って、掘りだしたらしぬかも、けどここまで来て掘らんでどうするそのために英国に来たんじゃろ(ちがうけど...)くらいのことを思ったのだが、その一断面を、最良のガイドから実際の音楽つきで教えて貰えたかんじ。

Skiffleって、弦がちゃかちゃか洗濯板しゃかしゃかのせわしないパーティ音楽、みたいなイメージしかなかったのだが、順を追って聴いていくとバディ・ホリーやビートルズの登場もこれを背にして繋がって転がっていったものなのね、というのがよくわかった。
ばっさり言ってしまうと伝統芸ぽかったJazzからギターを前面にだして誰でも歌えて自由に細工、加工できるようにしたのがSkiffleであった、と。 つまりはパンクであった、と。

説明もわかりやすくてさー、Skiffle以前のTrad jazzは、70年代のパンク前夜にDr.Feelgoodやパブロックがやっていたのと同じような土台固めの側面があった、とか、あるバンド(The Vipers)はパンクでいうとClashに相当する、とか、あるバンドはSkiffle界ではPeter and the Test Tube Babiesみたいなかんじ、とか。(客がうんうん力強く頷いているのもおかしかったけど)

われわれ日本人にはPeter Barakanという、英国音楽(に限らない)のすばらしい導師でありガイドがいるわけだが、異国にきて彼の名解説を聞けなくなってしまった今、こういうプログラムがあるのは本当に心強いかも。 あと、アナログばか一代もなー。

音楽の発達・伝承のしかた、形態の類似に迫るだけでなく、Skiffleの奏者や聴き手(戦後の混乱期にすることがなかった若者たち)のコミュニティの間で育っていったラディカル、反レイシズム、といった側面、ファンジンを作ったり自主製作でアルバム(12inchなんてないので、ソノシート12枚組とか)作ったり、といったDIY - 自分たちで自分たちが聞きたいものを自分たちのために作っていく文化、という角度からもSkiffleがいかにパンクだったか、に迫ったところもおもしろい。

他にも、シングル盤を中心としたマーケットを確立したのがLonnie Doneganで、それをアルバム中心に転換・展開させたのがThe Beatlesの"Sgt. Pepper’s…”だった、とか、戦後のSOHOのカフェ文化では紅茶よりもコーヒーのほうが多く消費されていた、とか、へええー、な話もいっぱい。

終わってから、"Roots, Radicals and Rockers: How Skiffle Changed the World"にサインしてもらった。
約25年前(あうー)にクアトロで"Accident Waiting To Happen"のEPにサインしてもらったのと同じ字、同じ笑顔に力強い握手だった。
この本、まだぱらぱらしか見ていないけど、誰か翻訳しないかしら。 音楽史本としてはSimon Reynoldsあたりよかおもしろいよ。きっと。

Royal Albert Hall のぐるっとした丸い廊下に貼ってある沢山の写真を見ながら帰った。 沢山のBowieが...

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。