2.19.2017

[film] The Breaking Point (1950)

15日の水曜日の夕方、クリーニングを取りにいって、過去2回うまくいかなかったお洗濯(機械の使い方がようわからん)に改めて臨んで、こんどのは1時間でうまくいったようだったのでとっても気分がよくなったので、BFIに行って、見ました。 20:50の回。この特集ではあともう一回かかるだけ。 UCLA Film & Television Archiveの35mmプリント。 邦題は『破局』。

ここ(BFI)の上映でよいのは、作品ごとにA4一枚のプログラムノートが配布されて、これがとっても勉強になるの。今回のだとこの作品の評価を決定づけた(と思われる - Wikiにも引用されているし)NY Timesの1950年の論評記事がまるごと載っている。 こういうことをやってくれるのはこことNYのMuseum of Moving Imageくらいかしら。

ここで特集が進行中のMartin Scorseseのキュレーションによる1本。 ホークスの『脱出』 (1944) と原作はおなじヘミングウェイの"To Have and Have Not"だというが、ふたつの映画の印象はぜんぜんちがうかんじで、こっちのほうがとっても暗くてつらい。(原作は未読)

チャーター釣り船の船頭をしているHarry Morgan (John Garfield)は妻と娘ふたりと幸せに暮らしているのだが、お金がなくて生活がきつくて、メキシコまでの客を乗っけたらふんだくられて、その損を埋めようと怪しげな中国の客を乗っけたらトラブル倍で散々な目にあい、戻ってみると事件のことを知られていて船は没収、ローンもすぐ払えとか言われて、妻には辛い思いさせるし、お先真っ暗で家族も生活もどうしよう... でいよいよどうしようもなくなって最後に。

ついてないことが重なって否応なしに辛くて痛い世界に引き摺りこまれてしまうのはノワールの展開そのものなのだが、それが酒場とか博打場とか建物の奥ではなく大きな海に浮かぶ船の上という余り起こりそうにないようなところで起こってしまうが故に、取り返しのつかない、引き返せないところに来てしまった/行ってしまった感が更につのってとってもかわいそうでならないの。

最後の船の上の銃撃戦の痛そうでどこまでもねちっこいかんじは”Taxi Driver”のそれ - もう何年も見てないけど - に似てるかも。
そして、ほんとに哀切でかわいそうなのはラストシーンでぽつりと残されてしまうあの子なの。

John Garfieldって、すばらしいねえ。

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