2.11.2017

[film] 20th Century Women (2016)

10日の金曜日の夕方、Curzon Soho - Curzonていうのは独立系のシアターチェーンで、メンバーになった - でついに、ようやく見ました。 限定公開の初日で、先週一回あったプレビューの際にはAnnette BeningさんのQ&Aがあったのだが、さすがに動けなかった。

いやーそれにしても。すばらしかった。多分世代的なものもあるのだが、それにしても。
Mike Mills作品って、”Beginners” (2010)はあんまよくわかんなかったのだが、これはすごい。
これから何度か繰り返し見ることになるであろう。

79年、カリフォルニアのSanta Barbaraでママ(Annette Bening)と一人息子のJamie (Lucas Jade Zumann)15歳が暮らしてて、その大きな家には他にアーティスト風 - 「すべてのもの」を写真に撮る、という - のAbbie (Greta Gerwig)と元自動車整備工でヒッピーで流れてきたWilliam (Billy Crudup)が下宿していて、あとはJamieの幼馴染で二つ年上のJulie (Elle Fanning)がいて、この娘は夜になると外壁を伝ってJamieの傍に眠りにくるのだが、Jamieがセックスしたいといってもあんたは友達だからだめ、ていう(..地獄)。

特に大きなストーリーがあるわけではなくて、Jamieが見たママを含むこれらの人(主に大人)たちのスケッチと、なんか変てこな音楽ばかり聴いてふらふらしててちゃんとした大人になれるとは思えないJamieのことを心配したママが住人の彼らに彼を見守って育ててほしい、てお願いしたもんだからだんだん変なふうになっていくの。 簡単にいうと、「20世紀の女たち」がよってたかって15歳男子をまっとうなやろうに叩きあげようとするお話しで、それに対して子供はパンクとスケボーで対抗する、そのぜんぜん噛みあわないへなちょこな攻防のあれこれ。

特にAbbieは見守るどころかやばい方に火をつけて、LAのライブハウスに連れて行って踊らせたり(いいなー)、“Our Bodies, Ourselves”とか”Sisterhood is Powerful”とか”The Politics of Orgasm”といったフェミニズムの教典(どまんなか)を与えたり、そういうのを読み込んだJamieは更にやばいほうへ。

Greta Gerwig演じるAbbieはとにかく最強で最高で、彼女のおなじみ変てこダンスが始めからずっと炸裂しててたまんないし、部屋で変な音楽が鳴っているのでママがそれなに? ていうと「レインコーツよ」 - "Fairytale in the Supermarket" (1979) が堂々と鳴っていたり。

JamieとJulieのエピソードも素敵でさあー。ふたりとも岡崎京子の漫画の顔なんだよね。
ふたりが逃げるように海辺の道を走っていくところ。

Jamieは64年生まれ、79年に15歳、というのは自分と全くおなじで、米国西海岸との違いは当然あるにしても聴いていた音楽は同じようなもんで、それにしても、母親とのやりとりは頭を抱えてしまうくらい同じかんじになってしまうのはなんでだろうか?  「ふつう」の、自分のときより幸せな大人になってほしいだけだとママは確信して寄ってくるのだが、そんなにふらふら危なっかしく見えていたのだろうか、と改めて考えてしまった  - だからと言ってもはやどうすることもできないわけだが。

というわけで、流れている音楽はすごいよう。 Talking HeadsのTシャツを着ていたJamieが絡まれて車に”ART FAG”って(その反対側に”BLACK FLAG”て)落書きされるとか、いかにもあったんだろうなー。
音楽に関していえば、Linklaterのよかこっちかも。 それくらいいちいちどまんなかにくる。

とにかくなんと言っても、Annette Bening、Greta Gerwig、Elle Fanningという「三人の女」の、最強のトライアングル。 コスチュームもなにからなにまで、Tシャツですらすばらしい。

あと、すてきな黒白猫さんが出てくる。
Special ThanksにはSpike JonzeとMiranda Julyの名前が。他にもあったかもだけど。

「バッド・フェミニスト」が売れて(るんだよね?)、そういう機運になっているのであればとっとと公開されてほしい。ただし、変な邦題つけたら今度こそぶんなぐるから。

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